研究課題/領域番号 |
18K12148
|
研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
吉村 拓巳 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (30353262)
|
研究分担者 |
田村 俊世 早稲田大学, 次世代ロボット研究機構, その他(招聘研究員) (10142259)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 深部体温 / 体温制御 / 双熱流法 |
研究実績の概要 |
[中枢温を用いた体温制御アルゴリズムの検討] 昨年度に引き続き、コロナ禍のため被験者を対象とした実験が実施できなかった。代替えとして、[冷却・加温デバイスの開発] と合わせて研究を行った。従来の冷却加温デバイスは表面温度を測定する方法により評価を行っていたが、身体に加えた熱エネルギーを算出できないため、アルゴリズムを検討する際の問題になっていた。そこで、身体に加えた熱エネルギーを算出可能なデバイスを検討した。具体的には冷却加温デバイスを水の循環によって冷却・加温できるようにし、デバイスの入口と出口の水温の温度差と水の流量より身体に加えた熱エネルギーを算出できる装置を開発した。これにより従来困難であった被験者の吸熱・加温エネルギーと体温変化の関係を検討することが可能となり、体温制御アルゴリズムの検討を行う際の問題点を解決可能になると考えられる。 [深部体温センサの検討] 昨年度作成した深部体温を模擬する装置の小型化のためヒートプレートを用いた模擬措置の開発を行った。従来の模擬装置は温水を用いた恒温槽により体表面を模擬したプレートを加温していたか、外気温度を変えて測定精度を検証する際に、温水が周囲の環境温度に与える影響が大きく、安定した評価が難しかった。また、温水を用いるため、模擬する体温を可変させることも困難であった。新たに試作したヒートプレートを用いた模擬装置は、周囲環境に与える影響を最小限にすることが可能で、さらに、熱容量が小さいため、模擬する深部体温の設定を容易に可変可能になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体として、脊髄損傷者を対象とした実験がコロナ禍のため実施できず、実際のデータが得られなかった。このため計画していた実験内容を、被験者を対象とした実験から、模擬装置を用いた実験などに切り替えている。これらの準備や装置の作成で研究に遅れが出ている。 [中枢温を用いた体温制御アルゴリズムの検討] に関しては実績報告でも述べたように[冷却・加温デバイスの開発]と合わせて、身体に加えた熱エネルギーを算出するデバイスを開発することで、より詳細なアルゴリズムの検討を行える環境を構築した。このため新たな研究計画の追加が必要となり研究に若干の遅れが生じている。 [深部体温センサの検討] 当初予定していた深部体温センサの開発はほぼ終了している。さらに精度検証を行うための模擬装置の小型化を行い、今後に向けてセンサを小型化する際の補正方法の研究を進めることが可能となった、これにより、当初予定していた以上の成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
[中枢温を用いた体温制御アルゴリズムの検討]と[冷却・加温デバイスの開発]を合わせて研究を行う。今後は実績報告で作成した評価装置を用いて、従来の上半身の冷却とAVA血管の冷却の比較を行い、効果を確認するとともに、体温調節アルゴリズムの検討を行う予定である。 [深部体温センサの検討] 当初計画していた開発は終了しているが、さらにセンサを小型化した場合の検証を進め、様々な形状のセンサでも精度よく深部体温を推定可能な方法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、計画していた実験が実施できず、消耗品や被験者謝金の支出が少なくなった。またコロナ禍のため学会が遠隔発表になったため、旅費の執行が少なくなった。このため、残額が生じた。 使用計画に関しては、次年度に計画している冷却装置の改良のための消耗品、深部体温計測装置の制作のための消耗品、学会発表の際の費用に使用する。
|