[中枢温を用いた体温制御アルゴリズムの検討] 深部体温の計測値から、脊髄損傷者の体温上昇を予測するシステムの検討を行った。脊髄損傷者を対象に計測実験を行った結果、深部体温の測定値のばらつきにより、予測する体温のばらつきも大きくなることが明らかとなった。これにより、深部体温センサの測定精度の向上が必要であることが明らかとなり、センサの測定精度の向上と安定性の向上を検討したが、令和2年度よりコロナ禍のため、被験者を対象とした実験が行えなかった。このためアルゴリズムの検討に関しては断念することにした。 [冷却・加温デバイスの開発] ペルチェ素子を用いて冷却加温した水を循環させることで冷却加温できるシステムを試作した。身体の冷却部分として上半身に装着するベストタイプと手のひらにあるAVA血管を冷却する装置の試作を行った。また、実際に生体に装着した際の冷却能力を算出するため、恒温水槽を用いた生体を模擬する装置を作成した。計測したデータから計算した結果、24.2Wの冷却能力があることが明らかとなった。実際に被験者に装着し効果を検証する実験に関してはコロナ禍のため実験を実施できず、この研究については令和2年度で終了した。 [深部体温センサの検討] 無線とSDカードで深部体温を計測可能な小型モニタを開発した。これにより深部体温の長時間計測が可能になった。また、モニタの精度検証を行う深部体温模擬装置の検討を行った。最終年度においては、ヒートプレートを用いた深部体温模擬装置を用い、プローブの校正実験を行った。外気温度を可変させて測定した結果、外気温度と深部体温の差が大きいほど推定した深部体温の誤差が大きくなることが分かった。この結果は前年度までに行った温水を用いた深部体温模擬装置で実験した場合の結果と同様傾向となった。このことから新たに作成した装置の妥当性を検証できた。
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