研究課題/領域番号 |
18K12151
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
岩城 敏 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (00453209)
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研究分担者 |
池田 徹志 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (50397618)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロボット教示 / インタフェース / レーザポインタ / 物体把持 / レーザセンサ / グリッパ / パンチルトアクチュエータ |
研究実績の概要 |
今期は、これまで開発してきた「実世界クリッカー」すなわちパンチルトアクチュエータ上に搭載されたTOF(Time-of-flight)型レーザセンサによりレーザスポット3D位置を測定するシステムの応用として、移動ロボット自己位置姿勢推定方式の検討を進めた。これは、移動ロボット自己位置推定をオドメトリのみに依存するのではなく,実世界クリッカーをあたかも“港の灯台”すなわちレーザビーコンとして活用するアイデアである。実世界クリッカーは本来、部屋内操作対象物の位置を直感的に特定・測定するインタフェースであるが、物体操作を行う移動ロボット自身の位置・姿勢の測定・制御に利活用する。具体的には、移動ロボット上に平面状レーザレシーバを設置し,このレシーバ上に実世界クリッカーからのレーザを照射する。そして、レシーバ下に設置された計測用カメラと実世界クリッカーの両者からこのレーザスポット位置を測定する。これらの情報に加え、移動ロボット自身のオドメトリ情報をも併用することで,高精度かつ簡易にロボット自己位置姿勢を推定するための最小二乗法に基づくアルゴリズムを明らかにした。そして部屋内を移動する差動2輪ロボットを対象に、オドメトリのみを利用する従来手法と提案手法における自己位置姿勢推定値の比較検討を、シミュレーションと実機の両者で実施した結果、提案手法の優位性が確認できた。以上の成果をフルペーパーにまとめジャーナル投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、本科研テーマ主題である「生活環境内日用品をワンドラッグで把持可能な介護支援ロボット操作用インタフェース」に関するジャーナル論文が採録された。査読者には提案方式の価値を十分理解を頂くと共に、評価実験方法やデータ解析法に関する多くの前向きなアドバイスを頂くことで結果的に論文の質が向上した。これにより本科研初年度に見込んでいた研究成果の目標を達成することができた。 一方、長引くコロナの影響で本科研予算を再度繰り越すこととなった。これに伴い、上記のロボット自己位置推定手法への応用研究が新たに生まれ、結果的にこれも論文投稿まで達成することができた。このことから本科研は順調に進捗していると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
実世界クリッカーの実用化を早めることを狙いに、これまでPCマウスで行っていた実世界クリッカー操作を、誰もが所有し利便性の高いスマフォに置き換えることを検討する。すなわち、スマートフォン内蔵モーションセンサ(加速度・ジャイロ・地磁気等)及び内臓TOFカメラを活用してスマフォ姿勢・位置を推定し,それを実世界クリッカーのパン角・チルト角と連動させることで,より実用的・直感的実世界クリッカー操作法を開発する.また、コロナの世界情勢を見極めつつこれまで完全に停止していた国際会議発表を再開させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により当初予定していた国際会議参加が不可能となったため。今年度は、国際会議参加および論文掲載料等に使用する。
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