本研究では,実際のすくみ足の状況に情動が関与しているかどうかの判断の根拠となる客観的な指標を示すことができた.すくみ足に関連した呼吸変化が,脅威な状況で顕著になり,またすくみ足の最中だけでなく直前に生じていることは,情動がすくみ足の誘因となっている可能性を示す. 情動による反応は心拍数よりも呼吸の方が早いことから,呼吸反応を捉えることはすくみ足への情動の貢献をより早く把握することを可能にし,臨床的な意義が大きい.すくみ足から解放直前の深呼気は,辺縁系への過負荷をリセットするための呼吸の意識的なコントロールと思われる.以上から,本研究結果は,実生活でのすくみ足の予防と克服に繋がる可能性がある.
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