研究実績の概要 |
本研究の目的は,筋電義手使用者の筋電ハンド制御時の筋電義手操作時の運動学的分析に基づいた筋電義手操作訓練の効果を明らかにすることである.また筋電義手の操作訓練方法が義手操作能力にどのように影響するかは十分に検証されていない.研究対象者は筋電義手を使用する前腕切断者とした。 2018年度は,健常人を対象に模擬筋電義手を用いて筋電義手訓練で用いられる片手操作課題と両手操作課題が義手操作能力に及ぼす影響について検証し,両手操作課題が片手操作課題と比較して向上することが示唆された.2019年度と2020年度は、筋電義手の対象となった片側前腕切断者を対象として、片手操作課題と両手操作課題が義手操作能力に及ぼす影響について検証するために実験を行った。対象は12名の片側前腕切断者12名(男性8名,女性4名)とした.本研究では,クロスオーバー試験法を用いて、無作為に2群に割り付けた.評価指標は,TheSouthampton Hand Assessment Procedure, Assessment of Capacity for Myoelectric ControlおよびBox and Block Testを用いて実施した。結果,BBTは片手操作練習と両手操作練習に練習効果の差は認められなかった. ACMCは片手操作練習と両手操作練習に練習効果の差が認められ, 両手操作練習の得点の変化が大きかった(p=0.015,r=0.59). SHAPは片手操作練習と両手操作練習に練習効果の差が認められ, 両手操作練習の得点の変化が大きかった(p=0.004,r=0.20). 結論として,両手操作練習でも片手操作練習と同様の筋電ハンド開閉能力の向上が確認でき, 両練習に効果の差がないことが確認された.そのため両手操作練習を重点的に行うことで, 早期にADL動作の獲得ができる可能性が示唆された.
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