研究課題/領域番号 |
18K12158
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
橋本 昌巳 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20242670)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 生活支援機器 / 福祉機器 |
研究実績の概要 |
本年度は、階層型システムをプロトタイプとして構築し、被験者実験及びシステム改良を行い、次の様な進捗、成果を得た。 ①階層型音声メニューBCIシステムのプロトタイプを構築し、健常者による被験者実験を行った。プロトタイプは2階層簡易構成として、健常者対象の評価実験により、選択試行の短時間化、音質の改善等の所感によりプロトタイプの問題点が明らかになった。 ②音声メニューBCIにおけるメニュー外の意思表現を目的とした共通コマンドとして、前年度評価のホワイトノイズに加え、クリック音による特性を検討した。音声メニューのオドボール課題の呈示音声の合間に呈示したクリック音の選択により、目的としているP300成分の惹起が認められた。クリック音の呈示音圧は音声に比べ十分に小さいもので、音声選択に影響がないことも確認できた。複数の共通コマンドが可能となると思われる。 ③音声メニューへの早期判別要素の付加について検討した。プロトタイプでは単語の意味の理解が判別要素となることからP300成分の潜時に変動要素が多分に含まれることが予想されてきた。その改善策として呈示音声に意味の理解に先立つ判別要素(早期判別要素)を付加することを考案した。一例としてメニュー呈示の音質の多種類化することを検討し、被験者実験を行った。その結果、聞き取り易さの改善の評価を得たが、精度向上にはさらなる検討が必要となった。早期判別要素として、呈示音声の方向要素の付加についても検討し、被験者実験の準備を進めた。早期判別要素の付加が有効に機能することで、選択試行の短時間化などの改善につながるものと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロトタイプによる被験者実験において、被験者の不足と被験者ごとの結果、評価の違いをシステム改良へ反映することに時間を要した。被験者負荷が比較的高いことで、被験者実験の進捗が遅延している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の推進に当たっては、これまで明らかになった改善点をプロトタイプに反映し、被験者負担の軽減を図りながら被験者実験を進める。具体的には、早期判別要素の付加、共通コマンドの実現及びフィードバック機能により、実用的なシステム構築を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた学会、研究会の中止等で次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和2年度請求額と共に被験者実験実施や成果発表等に使用する計画である。
|