研究課題/領域番号 |
18K12158
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
橋本 昌巳 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20242670)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生活支援機器 / 福祉機器 |
研究実績の概要 |
本年度は、システム性能向上のためにメニュー判別に関する手法について被験者実験を交えて検討し、次のような進捗及び成果を得た。 ①本システムでは事象関連電位に基づいた音声メニュー選択判別が必要であり、試行を繰り返して平均化しながら判別を行っている。有効なシステムのためには、少ない繰り返しで判別できることが必要で、繰り返し回数を念頭においた検討を行った。単一試行の事象関連電位解析として経験的モード分解手法を取り入れ、分解により得られる複数の固有モード信号から判別に適切な信号の選択要件を実験的に調べた。本検討の範囲では単一試行の3電極の脳波から判定条件を定めて判別し、メニュー10回呈示で77%、15回で85%の結果を得た。従来より判別率は向上しているものの、呈示回数の低減が必要である。被験者3名に対する2階層のシステム化実験においては、2階層判別率が67%であり、目標とする3階層への拡張には精度向上が必要である。 ②本システムでは音声メニューを構成していることから、判別に有効な事象関連電位が得られる呈示音声とすることを目的として、メニューの先頭音について検討した。先頭音を子音ごとグループとして、オドボール課題により事象関連電位への影響を検討した。一部の子音で複数の事象関連電位の減少が示唆され、メニュー音声の文言設定も性能向上の要素となることが示された。メニュー音声は使用者の聞き取り易さや聞き心地にも影響することから文言の選択要件を取りまとめる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れていた被験者を対象とした実験を徐々に追加して、予定数になりつつある。しかしながら、種々の機械学習の取り組みにおいてシステム構築の進捗が遅れ気味であり、データ量も不足気味と感じている。目的とするシステム化の実験も計画しており、さらに被験者の協力を依頼している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進に当たり、被験者実験の環境を整えている。被験者については、引き続き広く依頼している。目的とするシステム構築においては、これまでの成果の手法(メニュー呈示方法や共通コマンド機能)を取り入れシステム性能向上を図り、実用化の評価をする。最終的には被験者の使用感の評価も考慮する。
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