研究課題/領域番号 |
18K12167
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪狩 和子 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (90125493)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
佐々木 誠 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80404119)
塙 総司 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (90431585)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 介助歯磨き / 歯磨きスキルの最適化 / 予測モデル |
研究実績の概要 |
障害者・要介護者の口腔の健康を維持するためには介助者による日常の歯磨き(以後、介助歯磨き)が必須であるが、質の高い介助磨きを習得するのは難しい。本研究では、磨かれる人にとって快適であり、かつプラークの除去が適切に行われる介助磨きを習得するための支援プログラムの開発を目的としている。 前年度において、光学式モーションキャプチャを導入した3次元歯磨き動作解析システムを開発し、歯磨き動作と歯磨き圧を数値化・可視化する方法を報告するとともに得られたデータの分析により最適な磨き方を導出できる可能性を示した。 本年度は、歯科専門職と非専門職を対象として、開発した歯磨き動作解析システム下で歯列模型上の人工プラークを塗布した人工歯に対し指示された様々な歯磨き動作を行う実験を進めた。この実験により歯磨き動作と力に対応するプラーク除去率のデータを収集し、そのデータを用いて主成分分析により歯磨き動作を主成分得点として表し、歯磨きの力とプラーク除去率を予測する重回帰モデルを作成した。さらに予測モデルを用いて、より小さな力で効率的に動かし、より大きなプラーク除去率を得られる最適ブラッシング動作を生成する計算式を設定した。 そして、導かれた最適化モデルのシミュレーションを行い本手法の有効性についての検証を進めた。シミュレーションでは、例えば、歯頚部の人工プラーク除去を最大にするよう設定することで、歯ブラシが歯頚部上を往復する動作を自動生成できることが確認され、さらには、歯科専門職の優れた手法が最適化動作に反映されたことなども示唆された。これらの成果は、「介助磨きスキルの最適化に関する研究(Study on optimization of caregivers’ tooth brushing skill)」としてLIFE2019にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に開発した歯磨き動作解析システムを用いて、プラーク除去効果を指標とした最適化動作を生成するためのデータを収集するための実験を進め、歯ブラシ動作からブラッシング力やプラーク除去率を予測するモデルを作成することができた。さらにそのモデルにより最適化動作を自動生成することも確認され、最適動作を習得する支援プログラムの開発に道筋をつけることができた。 ただ、最適化モデルの有効性の検証はまだ不十分でありさらなる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実験により導出された予測モデル、さらに予測モデルを利用した最適化モデルの検証を進めていく。感性評価については、歯科専門職のスキルを予測モデルに取り込むことにより、磨かれる人にとっての快適さを最適モデルに表現できるかを検証していくために、歯科専門職の歯磨き動作データをより多く収集する実験を追加する。 最終年度として、最適化モデルの自動生成を利用した歯磨きスキル習得支援プログラムの開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に、動作解析システム構築に必要な物品を揃えたため、本年度は、実施した実験における人工歯などの消耗品購入のみの使用となった。 次年度は、福祉工学関連の国際学会での成果発表のための旅費や、広く募集する実験参加者への謝金を使用する予定である。
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