研究課題/領域番号 |
18K12169
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塚原 淳 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (70601128)
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研究分担者 |
橋本 稔 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (60156297)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歩行支援 / 麻痺側協調運動 / ウェアラブルロボット |
研究実績の概要 |
本研究では,歩行に伴う上肢運動が歩行安定性や歩容変化に及ぼす影響を明らかにするとともに,脳卒中片麻痺患者に対して,麻痺側の上肢と下肢の協調運動をアシストする麻痺側用装着型ロボットの開発を目指すものである. 今年度の前期では,上肢運動を支援するためのハードウェアの開発に着手した.第一試作として,上肢ハードウェアの装着性能を向上させるため,外骨格フレームを用いずに肩関節用サポーターにモータを固定し,装着者の腕振り動作をアシストするプロトタイプの試作を行った.試作した柔軟構造の上肢アシストウェアによって,装着時の拘束感や肩関節の自由度に向上がみられたが,腕振り動作を支援するために十分なアシスト力を得ることが困難であった.そこで,今年度の中期では,第一試作の改良タイプとして,モータとワイヤ巻取り機構を備えたパワーユニットを製作し,背中面に搭載させることで,上腕前後部に配置したワイヤを牽引し,肩関節の屈曲・伸展動作の支援を行うアシストウェアを開発した. これらの結果をもとに,今年度後期では,前年度までの研究成果である下肢運動支援用アシストロボットとシステム統合させ,上・下肢運動支援用ウェアラブルシステムの開発を行った,また,curaraシステムで用いられている神経振動子による同調制御手法を改良することで,上肢・下肢の協調運動を実現するための制御アルゴリズムの構築を行った.片麻痺を模擬した被験者による歩行アシスト実験では,従来手法である下肢のみの歩行支援と比較した際,開発した上肢・下肢歩行支援手法適用時のストライド長・歩行速度が有意に向上し,さらに歩行の左右対称性を評価する指標のHarmonic ratio(前後・左右・上下方向)においても向上する傾向が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
麻痺側用上肢・下肢協調運動支援システムの実現に向け,改良を重ねながらハードウェアの開発と制御アルゴリズムの構築を行うことに成功し,当初の研究開発項目の計画通り進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,開発したシステムを実際の片麻痺患者への適用し有効性を評価するために,システムの軽微な修正と検証試験に向けた体制を整えていく予定である.
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