研究実績の概要 |
視覚と聴覚に障害のある盲ろう者を主な対象とした情報伝達システムである体表点字の研究を行っている。これまでの研究では以下の2つの観点から検討を行っている:(1) 体表点字の読み取り特性の向上 (2)体表点字を用いた生活応用システムの提案 今年度(2019)は初めに、昨年度の課題となっていた個人に適した振動パターンを見出すことを検討した。Test3(左:150Hz, 右:40Hz, 両方150 ←→ 40 Hz, なし:150Hz(30ms))と Test6(左:150 → 40 Hz, 右:40 → 150Hz, 両方150 ←→ 40 Hz, なし:150Hz(30ms))について、6人の被験者に対して、振動駆動時間Tmを変更して正答率を求めてみた。Tmを長くすれば正答率は向上するが、正答率90%以上となるTmは人それぞれであり、正答率の高い方がTest3とTest6で異なるのも人それぞれであった。正答率90%以上でなるなるべく短いTmを評価基準にすると、Test3とTest6で3人ずつにクラス化できた。従来の評価基準(正答率の平均値)では埋もれてしまう個人に適した振動パターンが見い出せた。 今年度は、タブレットによる1点式体表点字のための装置化も行った。Android端末およびiOS端末の両方での動作を目指し、開発に Xamarin を用いることにより、共通部分は同時開発とした。Android端末において固有部分をプログラミングして体表点字を表現するための振動パターン(正弦波・変調・交互)を設定できるアプリケーションプログラムが完成した。体表点字を構成する4つのパターンの選択、それぞれのパターンの周波数・駆動時間などを端末画面から選択・設定し、カナ・数字・アルファベットに対して、それに対応する体表点字をAndroid端末から発生できるようになった。
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