最終度(2020)はiOS端末で体表点字装置の装置化と、Android端末およびiOS端末での生活応用システムの構築を行う予定であった。iOS端末で体表点字装置の装置化については、開発環境をインストールできなかったため実施できなかった。そこで体表点字パターンを出力できるAndroid端末における応用システムの開発を行った。昨年度までに体表点字を表現するための振動パターン(正弦波・変調・交互)を設定できるアプリケーションプログラムが完成していた。 はじめに応用システムとして、これまでPCでのみ測定できていた体表点字読み取りシステムの構築を行った。このシステムは、ランダムに体表点字を出題し、被験者の回答をもとに、回答反応時間や正答率そして間違いパターンなどを解析するための記録(ログ)を蓄積するというものである。昨年度までのシステムにて体表点字の振動そのものは表現できていたので、体表点字読み取りシステムとして必要な機能(ランダム体表点字の提示・回答そしてログ機能)を追加することで、体表点字読み取りシステムを構築できた。このことにより、昨年度のシステムをベースに応用システムを構築できることが確認できた。 生活応用システムとして以前の遠隔支援システムのAndroid端末化を検討した。従来の遠隔支援システムは、盲ろう者の手元の不明なものを携帯電話での映像を介して遠隔のサポーターが認識して携帯電話から点字情報を送り、盲ろう者が体表点字にて不明だったものを知るというものであった。提案するシステムでは、盲ろう者がAndroid端末のカメラで映し、Android端末にて文字認識できれば体表点字で伝えられるという構想であったが、Android端末にてカメラで映し文字認識を行う部分が構築できず、手元の不明なものを体表点字にて認識できるシステムは構築できなかった。
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