研究課題/領域番号 |
18K12176
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
柿並 良佑 山形大学, 人文社会科学部, 講師 (40706602)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 哲学 / 現代思想 / 情動 / 感情 |
研究実績の概要 |
計画では本年度が最終年度となる予定であったが、後で記すように目下の情勢に鑑みて研究期間を1年延長すことになった。最新の資料調査などは行うことがあまりできなかったが、共同研究会の組織・運営はオンラインで行うことができ、哲学のみならず文学・メディア論・心理学等の専門家とのネットワーク構築を進めた。 具体的には表象文化論学会にてオンライン・ワークショップ「「情動」論の現在──その多元的前線」を組織、司会を務めて広く分野をまたいだ議論を開くことができた。これを足がかりにして研究会を発足させ、自律感覚反応、児童心理、フェミニズム・男性学、感情の哲学といった分野における重要トピックをめぐる発表とそれに続く議論を行った。これらを通して、「情動affect」ないし「感情emotion」がある身体的・心理的プロセスのどの局面を指すかについて、キーワードのすり合わせを試みた。術語の整理が概念の整理にも連動するわけだが、容易ならざるその腑分けは、今日重要性をいやます「情動/感情」をめぐるさらなる研究の必要性を痛感させるものとなった。 本研究に連動した個別の研究成果としては、現代フランスの哲学者ジャン=リュック・ナンシーの思想の読解として論集に発表した論考「人間なきオマージュ」がある。思考が感性的な経験そのものと化すというナンシー哲学の根本的モティーフは本研究の発端に位置しており、これについて活字化できたことは幸いであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会情勢の影響を受け、本年度は研究計画に大きな変更が生じた。夏季に予定していたフランス国立図書館等での調査が行えなかったため、最新の資料収集はある程度諦めざるをえなかった。対してオンラインツールを利用した研究者間の交流は活発化したため、積極的に研究ネットワークの構築を進め、意見交換・共同研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もおそらくは海外での資料調査は難しいと思われるため、可能な限り資料はインターネットを通じて取り寄せることになるものと思われる。引き続き共同研究を発展させ、最終的な成果を論集として刊行することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨今の世界的情勢に鑑みて、フランス国立図書館等での資料調査を取りやめたため、翌年度に残額を繰り越すことにした。
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