研究課題/領域番号 |
18K12177
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
景山 洋平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (50780376)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 現象学 / 言語論 / 存在論 / 人間論 |
研究実績の概要 |
申請時の研究計画にそくして現象学的観点から言語論と存在論の連関を研究した。その成果として、招待論文「精神と現存在の差異:ガブリエルとハイデガーにおける様相・歴史・自由」(『現代思想』2018年9月)では、マルクス・ガブリエルのハイデガー批判を批判的に検討し、両者の様相概念の存在論的意義を明確化したうえで、そこから両者が言語論の形で導き出す人間観を比較した。また、招待講演「Mensch als logos und sein Ding: ein Versuch」(Colloque international: Heidegger dans la pensee francaise 2018年10月27日 同志社大学)では、特に後期ハイデガーのロゴス概念に焦点を当てて、ロゴスとしての言語が、ハイデガー存在論の体系全体を形式的に包摂する事象であることを明らかにし、さらに、これが質料的な存在者に適用された場合の理論的意義について検討した。以上の研究成果により、現象学的存在論の基盤をなすものとして言語概念を位置づける道筋が確立された。また、海外の研究者の共同研究として、西田幾多郎の世界概念について現象学的観点から考察する中で、最晩年の西田の宗教論に、本研究の主題である言語論と存在論の連関を見いだした。これは、「Das Weltproblem bei Kitaro Nishida und sein Verhaeltnis zu Phaenomenologie」として、Mohr Siebeck社の論文集『Phaenomenlogische Metaphysik』から刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表研究者の所属機関の異動にともない、研究計画の充足に若干の困難が生じたが、おおむね順調に進展している。特に、現象学的存在論における言語概念の体系的位置を明確化しえたことと、これが主体性の問題に対してもつ意義を雑誌論文の形で明確化できたことは、本研究の目的にとって大きな進展である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の研究により、現象学的存在論における言語概念の体系的位置について基本的なアイデアが確立されたので、今後はそれを様々な資料に即して肉付けしていくことが求められる。これは、計画書に記したとおりに、現代フランス現象学や現代ドイツ哲学などを考察対象として行われていくことになる。
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