研究課題/領域番号 |
18K12178
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
大西 勇喜謙 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教(特定有期雇用) (50793155)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 科学的表象 / モデル / データ同化 / 深層学習 / 科学的実在論 / 自然種 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、科学における表象と世界との関係を、近年の科学における動向を踏まえつつ考察するというものである。当初の計画では、これを、(1) 表象理論に基づくデータのモデルの分析、(2) データ同化と呼ばれる近年のシミュレーションモデル構築におけるパラメータ推定手法の分析、(3) これらの分析と実在論論争における「科学の目的」に関する論争との関係、という3つの課題に分けて構想していた。 このうち、(2) については予定通りデータ同化に関する基礎的な知識の習得を進め、また科学哲学に関心をもつ研究者との意見交換を行うなどして、次年度以降の研究の素地を固めた。 (1) については、予備的な考察を行ったものの、以下で述べる理由から深層学習を用いた研究と課題(3)との関連の分析を優先したため、 (1)については当初の計画通りには進捗していない。 (3) については、当初は(1)(2)の分析が出揃った後に行うことを予定していたが、近年科学の諸分野で盛んに用いられるようになってきた深層学習を用いた研究との関連性に気づいたため、今年度はこちらを先に進め、深層学習に関する基礎知識の習得とともに、予備的な考察と学会発表を行った。深層学習は、当初の計画では扱う予定はなかったが、学習のアルゴリズム自体は、当初(1)で扱う予定であった最小二乗法などと共通する部分もあり、パラメータの調節によるモデル構築という点ではより一般性が高く、また、しばしば人間には解釈が困難な「モデル」を自動的に生成するというその特徴から、これを用いた科学研究と科学の目的との関係は、非常に興味深いテーマであることに気づいた。今年度の予備的研究では、一見、反実在論を支持するようにみえるこうした研究が、逆に実在論を支持しうるような事例の候補を提示した。 これらに加え、科学における分類体系の実在に関する研究も進め、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究で扱う内容と遂行順序に当初の研究計画からの変更があったため。しかしながら、この変更自体は研究計画をより発展させるものであり、データ同化と深層学習という、近年盛んに用いられている研究手法の両者を論じることは、最新の研究手法を踏まえつつ科学的表象とその実在論論争への含意を論じるという本研究の目的に照らしても望ましいことと考える。
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今後の研究の推進方策 |
(1) については、分析の土台となる事例を探索するとともに、最新の先行研究の調査を行う。 (2) については、先行研究を調査するとともに、ワークショプなどを通して研究者との交流を進め、研究者自身の問題意識を吸い上げる。 (3) については、本年度の予備的分析をさらに深め、論文としてまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に予定していた、海外での滞在研究の目処が立たず、また本年度使用した先行研究が主に論文であったことから、予定したほどには書籍購入費を使用しなかったため。本年度余剰分は次年度以降の海外での滞在研究、およびワークショップ開催費用などに充てる予定である。
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