科学の発展段階では様々な形で研究対象に関するデータを取得し、対象の理解を深め、その実在性が議論される。その際、観察自体は成功していても、思うように対象の理解が進展しない「局所最適」や、観察や理論化の過程で誤った成果を受け入れてしまう「擬似成功」が生じうる。これらの問題を考察すべく、本研究では「ブラックホール・シャドウの観察成功」という事例に焦点を当てた。当該事例から、科学者は連携する中で研究対象の理解を相互に共有するロジックを取り入れ、局所最適や擬似成功を回避しているという知見が得られた。このことは、チャクラバティの科学的半実在論が克服すべき問題点に対する重要な視点であることを明らかにした。
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