研究課題/領域番号 |
18K12184
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山森 裕毅 大阪大学, COデザインセンター, 特任講師(常勤) (00648454)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スキゾ分析 / 制度分析 / 制度精神療法 / 当事者研究 / 哲学対話 / 対話実践 / 臨床実践 / フェリックス・ガタリ |
研究実績の概要 |
■フェリックス・ガタリのスキゾ分析の研究にかんしては研究成果としての論文発表は行わなかった。今期は『千のプラトー』の研究のために文献調査に集中したためである。口頭では①大阪大学国際合同会議 公開シンポジウム「精神科医療の脱施設化運動 ―ラボルド病院と日本の動き」で特定質問者を担当し、②「ガタリ国際ワークショップ~リトルネロをめぐって~」で短い発表とコメンテーターを務めた。また年度末よりこれまでの成果を加筆修正して単著を出版するための準備に入った。2021年度末の出版を目指す。 ■対話実践としては、①コミュニティスペースべてぶくろでの哲学カフェ(月1回)、②医療法人内のデイケアでの当事者研究(月2回)、③NPO法人Arts Initiative Tokyoの企画での哲学対話(計3回)、④東京写真美術館の企画「第12回恵比寿映像祭:時間を想像する」での哲学対話、⑤Shibaura Houseの企画「"Happyplaces"をめぐる784人との対話」での哲学対話を行った。フェリックス・ガタリの思想研究において文献研究だけでなく、このような実践的な場を通して研究できるということは大変意義があると考える。対話活動に関連して、精神療法の一種であるオープンダイアローグについての翻訳『開かれた対話と未来』(共訳)が刊行された。また出版事情により年度をまたいでしまったが2020年の4月にメンタルヘルスについての教科書『メンタルヘルスの理解のために』(第9章を担当)が刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フェリックス・ガタリの『千のプラトー』にかんする研究において一次文献・二次文献の調査・精読・問題設定に時間がかかりすぎてしまい、論文の形で研究発表することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
■フェリックス・ガタリのスキゾ分析にかんしては、これまでの研究成果をまとめ、再検討したうえで加筆修正を行い、書籍としての出版を準備していく。扱う範囲はガタリの初期から『千のプラトー』の直前までの範囲である。 ■前年に引き続きシャーマニズムなど人類学の知見を取り入れながら「スキゾ分析とは何か」、「精神の病とその治療とは何か」についての理解を深めていく。また精神分析や精神療法の知見もこの課題に接続させていきたい。 ■哲学対話や当事者研究などの実践についても継続的に行い、それらが人々の精神や生活に対してどのような影響を及ぼすのかを研究していきたい。 ■日本の精神医療の課題である「精神障害者の地域生活・地域移行」に対してどのような実践があり、どのような批判があるのかについて文献調査やフィールド調査などを通して研究していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額604円が生じた特段の理由はなく、助成金の計画的執行のなかでどうしても生じてしまう誤差のようなものだと考える。また額としても少額なため604円に対して個別の使用計画を立てることは合理的とは言い難く、次年度の助成金のなかに含めて通常通りに使用したいと考える。
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