研究課題/領域番号 |
18K12199
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
柴田 憲良 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 研究員 (30788807)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 最澄 / 伝述一心戒文 / 良祐 / 千妙寺 / 大乗戒 / 比叡山 / 延暦寺 / 天台宗 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、研究論文の発表、学会・例会での研究発表、研究会の主催および国内調査を実施した。 研究論文は、「『伝述一心戒文』良祐書写本の伝来について―応徳元年良祐書写時点および延応二年良快加点時点を中心に―」と題して、『伝教大師一千二百年大遠忌記念 平安・鎌倉の天台』(山喜房佛書林、2021年)に掲載された。 学会は、6月15日に叡山学院にて開催された叡山学会において「桓武天皇国忌日における得度の意義」、11月12日に叡山学院にて開催された第六十三回天台宗教学大会において「『伝述一心戒文』円珍裏書の検討」の研究発表および討論を行った。例会は、5月12日に叡山学院にて開催された第一回比叡山文化研究所例会において、「最澄が天台宗の得度日を桓武天皇国忌日にした意味について」、10月13日の第二回比叡山文化研究所例会において「『伝述一心戒文』「良祐書写本」円珍裏書の検討」の報告および討論を行った。研究会(研究代表者主催「天台典籍研究会」)は、7月24日、2月25日、3月25日に名古屋市立大学(Zoom)にて、平安仏教研究会・記紀氏文研究会と合同で開催した。この合同研究会は、月1回継続的に開催することとなった。 国内調査は、コロナ禍による規制の厳しい中ではあったが、計2回実施することができた。第1回は、11月20日・21日に東京国立博物館で開催された「伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」」の観覧および金沢文庫所蔵の『伝述一心戒文』の史料調査である。文保2年(1318)に比叡山神蔵寺にて沙門祐圓が書写した史料の複写を得ることができた。第2回は、11月30日~12月2日に福井県および石川県にある永平寺・平泉寺・那谷寺・白山比咩神社・金沢城公園・石川県立博物館などの現地調査、見学を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度に予定していた研究論文、研究発表については、予定通りにほぼ実施できた。研究代表者は、本研究課題に関する研究論文を執筆し、学会・例会などで研究成果の公表を行い、研究会を主催してきた。 しかし、国内調査、国外調査については、新型コロナウイルス感染症流行の影響を強く受けて、ほとんど実施できないまま年度を終えることとなった。特に国内調査が十分に実施できない状況では、『伝述一心戒文』の対校本の調査を行えないため、研究課題の主眼である本史料の校正を終えることができない。 以上のように、本研究課題はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の研究課題については、新型コロナウイルス感染症の流行により国内・国外調査を実施することができず、『伝述一心戒文』の対校本の調査をすることがかなわなかったため、本史料の校正作業に遅れが生じることとなった。 令和4年度の感染状況については不確定ではあるが、規制が解除された場合には、本史料の写本の所蔵機関と相談して調査を再開していきたい。写本の所蔵機関は、高山寺と聖衆来迎寺である。調査には、研究協力者の宇代貴文氏の協力を仰ぎ、また天台宗典編纂所にも協力依頼をして、迅速かつ確実に調査を進めていきたい。 研究論文および発表については、『伝述一心戒文』良祐書写本の伝来に関わる諸問題の解明に取り組んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度・3年度は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、予定通りの研究計画を実施することができなかった。特に国内・国外調査はほぼ実施することができなかった。このため昨年度に引き続き次年度使用額が生じることとなった。 令和4年度は、感染拡大防止の規制が解除されれば、国内の史料調査を再開し、『伝述一心戒文』の対校を行い、本史料の校正を完了させたい。
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