研究課題/領域番号 |
18K12200
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
工藤 量導 (クドウリョウドウ) 大正大学, 仏教学部, 非常勤講師 (60624674)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 浄穢 / 同質異見 / 慧影 / 大智度論疏 / 道安 / 浄土論 / 羽二七一 / 霊山浄土 |
研究成果の概要 |
東晋代から南北朝期における中国仏教の文献では、羅什が訳出した『維摩経』や『法華経』の経説をめぐる解釈、すなわち何故ゆえに浄土と穢土が同一の場所・空間において共存が可能であるのかという議論の理論的解明が重要なテーマとなっていた。本研究ではこれを「浄穢の議論」と呼び、その思想展開史の全体像を描き出すことを目的とした。 先行研究では浄穢の議論が東晋代の釈道安の『浄土論』に淵源するとされてきたが、実は『浄土論』の著者は北周代に活躍した同名異人の道安である。そこで本研究ではこの議論の勃興期を新たに改定し直し、東晋代から唐代初期における仏教文献を総覧して思想史の再構築を行った。
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自由記述の分野 |
中国仏教
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
浄土の本質的な価値をはかる代表的な基準として仏土論があり、中国や日本ではそれによって優劣のランクが判定された。ただし、仏土論は特定の浄土のある一時点の状態を暫定的に定義する場合(例えば往生思想の浄土)には有効だが、浄土が常に固定的な状態を保っているとは限らず、修行者の実践との同期連動や娑婆世界との位置関係などを充分に説明できていない。 一方、浄穢の議論は『法華経』や『維摩経』などの諸仏浄土を含む広義の浄土教に通用する学説であり、それゆえに多様な浄土教思想を俯瞰的に整理し結びつける可能性をもつ。優劣論にとどまらない建設的な視座を提供し、東アジア仏教の浄土思想の捉え方に再考を促すことが期待される。
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