研究課題/領域番号 |
18K12206
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
袴田 玲 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 講師 (30795068)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | グレゴリオス・パラマス / へシュカスム / 説教 / ビザンツ正教 / 東方キリスト教 |
研究成果の概要 |
本研究を通じ、パラマスの説教における人間理解では、原罪からの解放が神化=救済概念に重ねられており、神化を果たした範型的存在としてマリアが位置づけられ、一般信徒にも神化の道行きを歩むことが推奨されていることが明らかとなった。また、同時代の歴史的資料の分析によって、パラマスとイシドロスによる民衆教化運動の実態も明らかとなり、これまで世俗から隔絶されたアトス山との繋がりが強調されてきたヘシュカストたちの、都市や街での一般信徒(とくに女性や子供)とのかかわりに光が当てられた。こうして、14世紀のヘシュカスムの、世俗とのかかわりやその影響関係の広がりが示されたことは、本研究の大きな成果であった。
|
自由記述の分野 |
宗教学、東方キリスト教思想
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究を通じ、これまで良くも悪くも世俗から隔絶された存在とみなされてきた14世紀のヘシュカスムの、世間(一般民衆)とのかかわり、その影響関係の広がりが示されたことは、本研究の大きな学術的意義であると考える。このようなヘシュカスムの在り方こそが、後の『フィロカリア』編纂・出版にも大きな影響を与えたと言える。また、本研究において明らかになったパラマスらヘシュカストたちの人間観、とくにその女性理解は、これまで十分に光が当てられていなかった東方キリスト教的女性観の解明の一助となったと考える。本研究を通じて構築された英国・フランスをはじめとする国際共同研究の礎も、今後さらに発展させてゆきたい。
|