研究課題/領域番号 |
18K12212
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
丸山 大介 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (60749026)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スーフィズム / タリーカ / スーダン / エジプト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エジプトとスーダンで活動するタリーカ(スーフィー教団)を対象に、スーフィズムに基づく思想と実践が現代社会においていかなる意義と役割を有しているのかについて考察することである。研究を開始して4年目となる本年は、研究の最終年度であったことに加え、昨年度同様に現地での調査が困難であったことから、タリーカという概念を用いる際の問題点を整理した上で、現代のタリーカ(あるいは、それに類する集団)を分析する際の視座を(試論という形ではあるが)考案した。 タリーカを研究する際の課題としては、大まかに①時代や地域を越えて多様に存在するスーフィズムに関連する集団を「タリーカ」という語のみで分析してよいのか、②「スーフィー教団」や「神秘主義教団」に代表される訳語は適切か、③タリーカの活動に参与する人々のどこまでを分析対象に含むのかといった点がある。こうした諸問題に対し、タリーカを「閉じた組織」として分析するのではなく、スーフィズムの知識や実践を再生産する場として概念的に捉える研究に着目する必要があることを示した。その上で、スーフィズムに関する思想や実践が人々のコミュニティへの参加と協働を通じて生起する場としてタリーカを捉え直す視点を提示した。 本年度の研究成果としては、上述の研究に関する口頭発表及び論文のほか、スーダンのサンマーニー教団の思想を論じた論文とスーダンとイスラエルの国交正常化についてイスラーム主義者の言説をまとめた論文などがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に計画していた現地調査が今年度も新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで実施できておらず、スーダンとエジプトのタリーカを比較する上での資料の収集が、インターネットで入手できる情報を除けば進んでいない。他方、タリーカの分析枠組みをめぐりこれまでの研究をまとめることができたので、全体としては「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が研究計画の最終年度であったが、本研究の中心に据えていた現地調査をほとんど行えなかったため、研究期間を一年延長した。ただし、現地での調査が引き続き困難であることが予想されるため、調査の見通しが立つまでは、すでに入手済みのスーフィズム関連文献やタリーカが発行する雑誌、インターネット資料の分析を中心に据え、スーフィズムの思想とタリーカの実践がどのように結びつけられているか、タリーカが書籍や雑誌という媒体を通じて何を主張しようとしているのかについて明らかにしたい。同時に、新型コロナウイルスの流行が落ち着き、海外渡航が可能になった場合にすぐに調査に着手できるよう、感染対策を講じた調査計画を準備しておきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により、申請当初に計画していた現地調査が本年度も実施できなかったため、次年度使用額が生じた。来年度に入り現地調査ができるようであれば、エジプト・スーダンでの調査を着実に実施する。引き続き現地での調査が困難な場合には、研究や成果発信に必要な文献や資料の購入に使用する。
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