①個人研究:今年度は、尹致昊の植民地支配への認識に関する「尹致昊の植民地朝鮮への認識:「文化政治」初期(1919~1922)」(福岡大学、2023年10月13日)と、朝鮮の解放(1945)後における崔南善の朝鮮の古代史認識と不咸文化論の変容に関する「解放前後における崔南善の歴史認識と〈朝鮮/韓国的なもの〉」(韓国語、韓国・釜山大、2024年2月23日)を発表した。前者については、発表の研究時期が「文化政治」の初期ということだったため、発表後は1920年代前半から1930年代前半までの尹致昊の植民地朝鮮認識に関する研究を続けている。尹致昊に関する研究は、2018年に出した単行本の内容に、本科研プロジェクトの研究成果を加え、韓国語で刊行する予定である。後者の研究発表については、現在韓国語による研究論文を投稿するために執筆中である。
②研究ネットワーク構築:今年度が最終年度ということで、2023年10月13日には本科研の研究協力者ともにオフラインとオンラインで国際ワークショップを行った。発表者は郭炯徳氏[韓国・明知大学・副教授]、シム・ミリョン氏[アメリカ・ジョジア大学・助教授]、柳であり、コメンテーターは金杭氏[韓国・延世大学・教授/東京大学・招聘教員]だった。柳は植民地期における尹致昊の植民地支配への認識、郭氏は戦後日本における朝鮮文学の問題、シム氏は植民地時代の満洲と朝鮮文学の問題について発表し、金氏は各氏への質問とともに3名の発表を網羅するコメントを行った。今年度も韓国と日本国内、九州地域の研究者との交流を行うことができ、研究ネットワークの充実化を図った。
③アーカイブ作業:1900年代~1920年代の李光洙の論説に関する解説を作成するため、李光洙の人生と思想について研究を行った。今年度をもって本科研プロジェクトは終了となるが、2024年度以降にも公刊作業を行う予定である。
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