• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

ドイツ・プロテスタンティズムにおける「リベラル/デモクラシー/共和国」の問題

研究課題

研究課題/領域番号 18K12217
研究機関北海学園大学

研究代表者

小柳 敦史  北海学園大学, 人文学部, 准教授 (60635308)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワードリベラル・プロテスタンティズム / エルンスト・トレルチ / ヴィルヘルム・ブセット / オットー・バウムガルテン / アドルフ・フォン・ハルナック / トマス・カーライル / 人格性 / 魂
研究実績の概要

2023年度は、2021年度に着手していたドイツのリベラル・プロテスタンティズムにおけるカーライル受容の分析と、2022年度に課題として浮上したリベラル・プロテスタンティズムにおける「魂/心」(Seele)の意味の検討を行った。
カーライル受容については、これまでに分析していたヴィルヘルム・ブセットとオットー・バウムガルテンに加え、アドルフ・フォン・ハルナックとエルンスト・トレルチのカーライル論も分析し、1)カーライルをどのように受容したかに注目することで、リッチュル学派と宗教史学派の対立という定型的な図式よりも繊細に神学者たちの布置を描くことができること、2)カーライルの議論が歴史観、教会論、政治的指導者への待望など様々な点においてプロテスタント神学者のインスピレーションの源になっていたこと、3)カーライルの〈英雄崇拝〉論はかなり単純化されて受容されており、そのように単純化された英雄論に対して批判的な距離を保っていたトレルチの思想がむしろ、カーライル自身の〈英雄崇拝〉論に近いものであったこと、の3点が明らかとなった。
「魂/心」については通常、ドイツのリベラル・プロテスタント神学においてはリベラルな人間理解の根本にある「人格性」が中心概念であり、「魂/心」の議論は不在であると論じられてきた。しかし、晩年のトレルチのテクストを分析すると、「人格性」によっては説明できない他者との違いを理解することを可能にする概念として、万有精神の分有としての「魂」の重要性が論じられていることが明らかとなった。そして、それぞれに異なる個性をもった人間の共同として社会を捉えることは、トレルチの民主主義論の根幹でもある。同時期にヴァイマール共和国に批判的な保守革命論者から提出されていた「魂」論との比較も含めて、リベラルな思想家たちの「魂」論に注目する必要性が明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ドイツ自由主義神学におけるカーライル2024

    • 著者名/発表者名
      小柳敦史
    • 雑誌名

      基督教学研究

      巻: 43 ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] ドイツ自由主義神学におけるカーライル2023

    • 著者名/発表者名
      小柳敦史
    • 学会等名
      日本基督教学会第71回学術大会
  • [学会発表] 〈魂〉が異なるものの認識-トレルチの歴史哲学から宗教哲学へ-2023

    • 著者名/発表者名
      小柳敦史
    • 学会等名
      日本宗教学会第82回学術大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi