研究課題/領域番号 |
18K12222
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
榧木 亨 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (10782310)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本近世期 / 礼楽思想 / 雅楽 / 儒教 |
研究実績の概要 |
今年度は、日本近世期における礼楽思想の変遷過程について通史的な観点から分析を行なうため、分析対象となる資料の収集を行なった。具体的には、国立国会図書館、国立公文書館、大倉精神文化研究所附属図書館、宮城県図書館、小浜市立図書館、富山市立図書館、武雄市図書館、佐伯市歴史資料館、東京大学総合図書館、大阪大学附属図書館、九州大学附属図書館、早稲田大学図書館、国士舘大学図書館、安田女子大学図書館、内藤記念くすり博物館図書館などを訪問し、資料調査と収集を実施した。 日本近世期における儒教的な音楽観の形成過程については、当初「黎明期」と「発展期」の前後二期に分けられ、また、「発展期」については「師説の継承や発展」や「折衷案の提唱」などの特徴がみられるものと考えていたが、今年度に収集した資料を分析した結果、「発展期」における「師説の継承や発展」と「折衷案の提唱」については、時期的には重複しているものの、異なる方向性を示しているのではないかと考えるようになった。すなわち、「師説の継承や発展」においては、師説の補強や他説の批判に重点が置かれているのに対して、「折衷案の提唱」においては、これまでの諸説を総合し、儒教の音楽論(または楽律論)を示そうとする傾向が強く見られることが判明した。以上のことから、儒教的な音楽観の形成過程を示すためには「黎明期」と「発展期」という枠組みは有用であると考えられるが、「発展期」に見られる二つの方向性をいかにして示し、かつ、「通史的」という観点からいかに整理するのかについては、次年度以降の検討課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に収集することを予定していた資料については、概ね収集することができ、また、当初は予定していなかった資料についても収集することができた。さらに、未収集の資料についても、次年度の早々に収集する目途をつけることができた。よって、資料収集については、概ね計画通りに進捗していると言える。 資料の分析についても、収集したものから順に分析を行なっており、それらの資料の分析により得た新たな知見により、当初想定していた全体構造を一部修正するなど、一定の成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
資料の収集については、次年度の前半で概ね完了することが予想されるため、今後は資料の収集・分析から研究成果の公表へと重点を移していきたい。 また、今年度は日程の都合上、学会発表等を行なうことができなかったため、次年度は積極的に研究成果を発表していきたい。
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