研究課題/領域番号 |
18K12227
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小泉 順也 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (50613858)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナビ派 / 西洋美術史 / コレクション / 美術館 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、2020年夏に予定していたフランスでの現地調査、および国内の美術館における現地調査を中止せざるを得なくなり、研究の進捗に遅れが生じる結果となった。あわせて、2020年度に参加予定であった2つの国際シンポジウムの発表も取りやめとなった。 上記のような状況の変化から、フランス国立図書館が提供する新聞雑誌のデータベース、各種のオンライン情報を積極的に活用しながら、ナビ派の芸術家をめぐる美術批評の調査を継続的に実施し、今後の議論に繋げる一次資料を渉猟した。とくにポール・セリュジエに関する資料を可能な範囲で収集し、美術史の研究において注目される1890年前後に加えて、20世紀初頭から最晩年の1920年代までの時期における活動実態をより明らかにし、「ナビ派」と呼ばれる芸術家集団をめぐる20世紀前半の言説空間を解明していく手掛かりを得られた。 研究成果の発表としては、ミネルヴァ書房から2020年7月に出版された『現代フランス哲学入門』に「ゴーガン」の項目の執筆を担当した。これは狭義の哲学史を超えて、文化や芸術の領域も射程に含んだ横断領域的な思想史の文脈にポール・ゴーガンを位置付ける機会となった。 また、2019年6月30日に日仏美術学会主催で開催されたシンポジウム「ナビ派の現在」に関連して、企画者および登壇者の立場から『日仏美術学会会報』(39号、2020年5月)に傍聴記を執筆した。同学会でナビ派を冠したシンポジウムを開催するのは今回が初めてであり、近年の研究動向を総括した上で、2017年以降に世界各国で開催された展覧会の詳細な情報を掲載し、今後の研究に資する情報提供を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度にフランスで現地調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で取りやめた。そのため論文執筆の準備が整わず、予定していた成果を上げるまでには達しなかった。また、フランスのフォンテーヌブローで2020年6月に開催する美術史フェスティバル、および東京の日仏会館で2020年10月に開かれる国際シンポジウムにおいて研究発表を実施する予定であったが、どちらも延期の決定が下された。ただし、2020年度の研究実績の概要で説明したように、一定の研究成果の発表は行った。
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今後の研究の推進方策 |
フランスでの現地調査および国内の美術館の調査について、実施可能であるかどうかを見極めながら、慎重に準備を進めていく。パリでのフランス国立図書館、国立公文書館での調査は2021年9月を予定している。国内での美術館としては、上原美術館、池田21世紀美術館、ポーラ美術館、ヤマザキマザック美術館、大原美術館の現地訪問と調査を可能な範囲で進めていく。あわせて、データベースの活用、海外からの文献複写の取り寄せなどを積極的に利用しながら研究を遂行する。 研究発表としては、3つの国際シンポジウムに参加する予定である。2021年6月には、フランスで企画される美術史フェスティバルの一環として、ナビ派を含む日本の美術館コレクションの形成についての研究発表をオンライン形式で実施する。2021年10月には、日仏美術学会の国際シンポジウムで研究発表を行う予定である。あわせて、2021年11月に京都工芸繊維大学で開催予定の国際シンポジウム「ポスト印象派から後世代に継承されたユートピアの表象」でポール・ゴーガンのユートピアをテーマとした研究発表を実施する。 また、一橋大学大学院言語社会研究科が発刊する紀要雑誌『言語社会』(16号、2022年3月刊行予定)において、4~5人の論考をまとめるかたちでナビ派に関する小特集を組み、近年のナビ派の研究動向を多面的に論じる予定である。さらに、2022年1月頃に日本の美術館が所蔵するナビ派作品をテーマにしたシンポジウムの開催を企画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に実施を予定していたフランスの現地調査は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止せざるを得なかった。あわせて、国内の美術館における調査も取りやめることになった。2021年度は可能な限り、その実現に向けて準備を進める予定である。しかしながら、今後の状況次第では、再度の中止を判断せざるを得ない事態も想定される。そのため、データベースの新規登録、海外からの文献複写の取り寄せなどを積極的に利用しながら、研究を進めていく。
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