研究課題/領域番号 |
18K12227
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小泉 順也 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 教授 (50613858)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ナビ派 / コレクション / ポール・ゴーガン / 美術館 / 受容研究 / ポール・セリュジエ |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて国外の現地調査は中止となり、国内についても上原美術館に出張するのみで終わった(2022年1月7日)。そのため、2021年度は過去に実施した調査、国内で閲覧できる資料等をまとめることに集中した。 (1)以下の3つの国際シンポジウムで研究発表を実施した。①フランス文化省主催「第10回美術史フェスティバル」のターブルロンド「日本におけるフランス絵画」2021年6月4日。②日仏美術学会 / 京都工芸繊維大学大学院デザイン・建築学系造形史研究室主催、OPEN TECHシンポジウム「ポスト印象派から後世代に継承されたユートピアの表象」2021年11月27日。③日仏美術学会創立40周年記念シンポジウム:フランス美術研究の現在と未来」2022年3月27日。③は実行委員として開催の実現に協力した。上記の3つの研究発表は、日本の美術館が所蔵するナビ派を含めたフランス近代美術コレクションの多様性と歴史的経緯を、国内外の研究者に伝える機会となった。 (2)2021年12月13日に一橋大学言語社会研究科主催のシンポジウム「日本の美術館とナビ派:地方美術館から考える研究の可能性」をオンラインで開催した。シンポジウムには約50名の参加者があり、4本の研究発表に加えて、後半ではZoomのブレイクアウトセッションを活用した情報交換の場を提供した。研究科ホームページに傍聴記を公開するとともに、2021年12月21日の静岡新聞に「ナビ派研究の成果披露」と題した紹介記事が掲載された。 (3)2022年3月に刊行された一橋大学言語社会研究科紀要『言語社会』16号に特集「ナビ派研究の現在:近年の展覧会をめぐる考察」を組んだ。前書きと5本の論説で構成された本特集は、2010年代後半以降に世界各地で開催された展覧会の批評を通して、現在のナビ派研究の動向を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に実施が延期された3つの国際シンポジウムについて、2021年度はオンラインによる研究発表を行った。①フランス文化省主催「第10回美術史フェスティバル」のターブルロンド「日本におけるフランス絵画」2021年6月4日。②日仏美術学会 / 京都工芸繊維大学大学院デザイン・建築学系造形史研究室主催、OPEN TECHシンポジウム「ポスト印象派から後世代に継承されたユートピアの表象」2021年11月27日。 上記のイベントのほかに、2021年12月13日に一橋大学言語社会研究科主催のシンポジウム「日本の美術館とナビ派:地方美術館から考える研究の可能性」をオンラインで開催した。シンポジウムには約50名の参加者があり、地域や年代を超えた幅広い研究者の情報共有の機会となった。傍聴記を一橋大学言語社会研究科のホームページに掲載し、2021年12月21日に静岡新聞で紹介記事が掲載された。また、2021年7月3日に開催された日仏美術学会第160回例会「親密さをめぐる諸問題」のコメンテーターを務めた。 2022年3月に同研究科の紀要雑誌『言語社会』16号に特集「ナビ派研究の現在:近年の展覧会をめぐる考察」を組み、報告者のものを含めた計5本の論説を前書きを添えて発表した。ただし、コロナ禍の影響から特集の内容を近年に開催された展覧会に変更し、発表媒体についても紀要雑誌を活用することとした。 国内外の現地調査の機会は限定されたが、2021年度は2020年度に予定していた研究の遅れを取り戻し、当初の研究計画を一定の段階まで達成できた。以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大の状況を慎重に見極めながら、2022年度は日本の美術館の現地調査を中心に実施する。今のところ群馬県、静岡県、愛知県、岐阜県、新潟県、福島県等、首都圏から比較的行きやすい場所の調査を計画している。状況が改善すれば、さらに遠方の美術館における現地調査を実施する。また、安全な渡航が可能となれば海外の現地調査の実施を検討し、予算の一部を旅費に充てることとする。いずれにせよ、本研究課題を延長した中で、更なる研究の展開に繋げられる調査を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に実施予定であった現地調査ができなかった。そのため、旅費を書籍等の購入に回し、日本で可能な調査を進めた。また、ナビ派の論考をまとめた冊子を作成する予定であったが、コロナ禍における研究状況の進捗状況を考慮して、研究科紀要『言語社会』に特集を組むかたちの成果発表に変更した。以上の理由から、使用額と使用計画に差が生じる結果となった。2022年度は可能な範囲で現地調査を実施する予定であり、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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