本研究では、近年のフランス美術史において再評価が進むナビ派を取り上げ、美術館における作品収蔵の歴史、展覧会や回顧展の分析を通して、この美術運動の現在に繋がる受容の実態の一端を明らかにした。調査研究の成果は、パリのオルセー美術館におけるナビ派のコレクションの定量的分析、日本の美術館で開催された2つのピエール・ボナール展の比較検証、ポール・セリュジエ《タリスマン(護符)》をめぐる逸話の再考をそれぞれ論じた計3本の論文に発表した。さらに、8回の研究発表と2回の招待講演を実施し、フランスと日本の美術館に所蔵されたコレクションに関する新たな研究の方向性を提示した。
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