研究課題/領域番号 |
18K12229
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
本田 晃子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (90633496)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ソ連建築 / 映画 / 団地 / 集合住宅 |
研究実績の概要 |
今年度は計画していたモスクワ渡航調査が新型コロナウィルスの感染拡大に世より不可能になったため、急遽北海道大学および九州大学の蔵書資料やロシア国立歴史図書館のオンラインアーカイヴ資料などを利用することにより、昨年度に引き続きソ連住宅の歴史と表象に関する研究を進めた。 研究成果については、本来8月にカナダのモントリオールで開催されるスラヴ学研究最大の国際会議International Council for Central and East European Studiesに参加し、ソヴィエト宮殿の映画内表象に関する報告を行う予定であったが、同会議の2021年度への延期に伴い、報告も延期となった。また昨年度East Asian Conference on Slavic Eurasian Studiesにおいて行った報告、From Palace to Pandemonium: An Analysis on the Imagery of the Moscow Metro in Soviet and Post-Soviet Filmsは、その後論文として北海道大大学スラブ・ユーラシア研究センターが刊行する学術誌『スラヴ研究』に投稿中である。 ソ連住宅に関する研究成果については、株式会社ゲンロンの月間誌(ウェブマガジン)『ゲンロンβ』において連載を行っているほか、2020年12月23日に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターにおいて、オンラインセミナー「革命と住宅――ソ連映画における住宅表象の分析」を開催し、報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染拡大によってモスクワへの渡航が不可能になったため、ソ連時代に建設された集合住宅の記録などの現地調査は、現在中断している。また現地図書館やアーカイヴを利用した資料収集も困難になったが、日本国内の国立大学の蔵書資料やロシアの図書館等のオンライン・アーカイヴを活用することにより、研究の停滞は回避することができている。 また予定していた集合住宅の映画内表象に関する国際シンポジウム等、複数の学術イベントもやはり新型コロナウィルスの影響によって中止となった。しかし他方で、2020年度にはこれまで収集してきた情報を整理し、研究成果をアウトプットする機会が得られた。現在はこれまで日本語、ロシア語、英語で発表してきた論文を単著として再構成する作業を進めており、2021年度中には一冊の本として刊行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター及び同工学部の蔵書資料を中心に、ソ連の住宅史およびその映画内における表象についての研究を進めていく予定である。もし可能であれば、モスクワへの渡航を行い、スターリン時代・フルシチョフ時代に実際に建設された集合住宅の撮影・記録を行いたい。 またこれまでの研究成果の発表としては、今年8月に延期されたInternational Council for Central and East European Studiesにおいて、Image Politics of Socialist Edifice: Analysis of the Palace of the Soviets Appearing in Soviet Filmsと題した報告を行う予定である。同報告内容は論文集として出版を予定している。また昨年度に引き続き、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターにおいて、ソ連住宅の歴史および表象に関するセミナーを予定している。同内容については、昨年度から引き続きウェブマガジン『ゲンロンβ』に連載していく。さらに、これまでのソ連映画における建築表象研究の集大成として、2014年度から2021年度までに発表した論文をまとめた単著を刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロシア(モスクワ)への現地渡航調査、およびカナダ(モントリオール)での国際会議における報告が新型コロナウィルス感染拡大によって困難になったため、当該助成金が生じた。2021年度にモスクワへの渡航調査が可能となった場合は、同目的のために使用する予定である。また今後、対面でのワークショップに代えて、オンライン上での国際ワークショップ等を企画しており、それらにかかわる支出に使用することを予定している。
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