今年度も当初計画していたモスクワへの渡航調査が新型コロナウィルスの感染拡大によって不可能になったため、北海道大学や早稲田大学の所蔵資料を利用することにより、資料収集をおこなった。 学会報告等に関する研究成果としては、世界最大のスラヴ学研究の国際会議 The 10th World Congress of International Council for Central and East European Studies (オンライン開催)に参加し、Image Politics of Socialist Edifice: Analysis of the Palace of Soviets Appearing in Soviet Films と題した報告を行った。また、北海道大大学スラブ・ユーラシア研究センターでは、公開講座「メロドラマするロシア:アジアとの比較から考える大衆文化の想像力」の一環として「ソ連製メロドラマ映画と住宅」と題したレクチャーを、さらに客員研究員セミナーでは「社会主義住宅 最後の実験:ブレジネフ時代のユートピア」と題した報告を行い、これまでのソ連住宅に関する研究成果を発表した。さらに2月には本助成を用いてオンライン・シンポジウム「日韓ソ映画における 団地イメージの変遷」を企画し、ソ連、日本、韓国における戦後の集合住宅の歴史とその映画内における表象の比較考察を試みた。 論文・書籍に関する成果としては、学術誌『スラヴ研究』、国際論文集Русская культура на перекрестках истории(『歴史と交差するロシア文化』)にそれぞれ論文が採録された。またこれまでの研究の集大成として、単著『都市を上映せよ: ソ連映画が築いたスターリニズムの建築空間』(東京大学出版会)を刊行した。
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