本研究は、学問や詩歌に優れ、江戸時代前期を代表する文化人としても高名な後水尾法皇の8番目の皇女であり、多くの絵画や書跡を残した尼僧・照山元瑶(しょうざんげんよう、1634-1727)の制作活動の実態を、作品の悉皆調査を通じて考察したものである。 制作年の明らかな作品の博捜や、落款における筆跡、署名内容、印章などを検証することにより、絵画や書跡の年代的推移を示し得た。また、元瑶が多く描いた「観音図」、「後水尾法皇像」を検討することにより、制作時期や作品をめぐる交友関係などが指摘でき、元瑶の制作活動を実証的に解明することが可能となった。
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