研究課題/領域番号 |
18K12250
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
大橋 美織 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (10584477)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文人画 / 風景表現 / 実景図 / 岡田半江 / 文人サークル |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに収集した所蔵者情報をもとに、岡田半江の作品調査を行うことを中心に活動する予定であったが、再び緊急事態宣言も発令され、コロナ感染症の流行で各地への往来及び調整が難しく、掛軸1件、画巻2件のみの実施となった。そのため、江戸時代における風景表現についての基礎的な資料収集(売立目録の掲載記録の収集等)及び調査済み作品の情報整理(撮影写真の整理、箱書等に記載された文字の翻刻等)を可能な限り行った。 また、目に見えるわかりやすい形で、文人画について、また江戸時代後期の文人ネットワークの中で生まれた風景表現について広く公開・発信するべく、東京国立博物館におけるテーマ展示を行った(※)。コロナ感染症の流行により来館できない方々にもより広く発信する方法として、昨年度制作したオンラインギャラリートークを公開した(2021年4月6日公開) ※本館7室・8室 テーマ展示「日本の文人画~中国へのあこがれ~」(会期:2021年11月16日~年12月25日)にて、中国絵画から大きな影響を受けて作品を制作した文人画家たちの作品を展示。 また、同期間に展示した杜秋艇「耶馬渓図巻」についての論考が、2022年6月刊行の雑誌に掲載予定である。豊後日田の豪商森家に生まれた杜秋艇は、頼山陽や田能村竹田といった当時一流の人物たちと交わりながら、中国絵画を収集し作品を制作していたが、これまで紹介されることがなかった。論考では、頼山陽が訪れ、その奇岩秀峰に富んだ景観を絶賛して「耶馬渓」と名付けたことで一躍有名となった名所を、江戸後期文人サークルとも密接に交わった秋艇がどのように絵画化したのかを紹介する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
再びのコロナ感染症の流行もあり、作品調査は掛軸1件、画巻2件となった。今までに調査を行った作品の整理考察を進め、風景表現がみられる作品を含めた文人画の展示を行った。出品作品に関する論考が、次年度刊行雑誌に掲載予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、コロナ感染症の流行により、本研究の核の一つである岡田半江の悉皆調査が掛軸1件、画巻2件のみとなった。しかし、緊急事態宣言も解除され、来年は国内の調査は可能となる可能性が高いと思われる。状況を注視しながら、臨機応変に対応していくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の流行により、予定していた岡田半江の作品調査を延期したため(掛軸1件、画巻2件のみ調査を実施した)。来年度も厳しい状況にはあると思うが、国内の調査は可能となると思われるので、状況を注視しつつ、先方との連絡を密にとって調整を行いたい。
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