本年度は、昨年度までにおこなった実査およびX線CTスキャン調査のデータを整理し、それらのデータにもとづいて三尺阿弥陀の木取りおよび木寄せ方法の分析や像内納入品の員数および形状の把握、像の表面にほどこされた切金文様の形式分類を進めた。 また、アメリカ所在(キンベル美術館、ハーバード美術館、フリーア美術館、ボストン美術館、メトロポリタン美術館)の快慶作品について、各美術館と交渉のうえ新規での写真撮影を実施し、さらに「南無阿弥陀仏作善集」(東京大学史料編纂所蔵)を新たに翻刻するなど、後述の学術書の刊行に向けた準備を進めた。 本科研の研究成果については、京都大学人文科学研究所主催の人文研アカデミー2022シンポジウム「日本古代中世の仏像彫刻―阿弥陀如来の変容をさぐる―」において「快慶研究最前線―阿弥陀如来像を中心に―」と題して報告をおこない、2023年3月に思文閣出版より奈良国立博物館編『仏師快慶の研究』を刊行した。
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