研究課題/領域番号 |
18K12257
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
桑原 寿行 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60734598)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 4Dスキャン / Volumetric Capture / photogrammetry / メディア表現 / メディア・アート / 映像表現 / 写真 / 実写 |
研究実績の概要 |
昨年度で達成予定だった、4Dスキャンデータを取得可能な実践的スタジオと制作環境の構築を進め、4Dスキャンにおける技術的基盤であるphotogrammetry技術や、4Dスキャンを用いた基盤的な実践的表現応用の研究および実制作を行い展示形式での成果発表を実施した。Photogrammetryを用いた先進的な芸術表現への応用過程で得た知見と、4Dスキャンデータを取得するスタジオ構築の同時進行により、高度な芸術表現の応用可能性を内包した4Dスキャンデータの編集・描画を可能にする基盤的なシステムの開発を実現した。 4Dスキャンメディアの本質的な性質や時空間体験性を考察するために、若手有識研究者で構成する「GREY ROOM」プロジェクトの立ち上げを行なった。このプロジェクトではメディア技術がもたらした情動や知覚の変容を念頭に、映像史以前の写真黎明期から実写的イメージの成立を分析しながら実技的な表現応用までを横断的に考察、実践的表現化を進めたことにより、4Dスキャンメディアの表現効果を主体としたシステムを開発する上での新たな知見が得られた。 「GREY ROOM」プロジェクトでは、上記のスタジオとシステムを用いて試作を繰り返しながら表現効果を抽出することにより、リアルタイムレンダリングによる4Dスキャンメディアを用いた作品「SHASHIN.1799(demo)」の制作を達成した。この初期作品では従来の3d表現技術であるポリゴンとボーンのアニメーション情報では実現できないような表現内容に富む多様な新らしい知見が得られ、4Dスキャンの芸術表現応用を進めることの、重要性と新規性を確認することができた。上記作品を含めた作品群と「GREY ROOM」プロジェクトでの議論や考察をインスタレーションとしてまとめた成果展示「GREY ROOM」展を年度末に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前期において4Dスキャンデータを取得可能な実践的スタジオの構築作業に専念しながら、発足した「GREY ROOM」プロジェクトにおいて表現可能性を考察したことにより、芸術表現を主軸にした効率的な4Dスキャンデータの編集・描画を可能にする基盤的なシステムの開発が実現できた。スタジオと描画システムを用いて試作を繰り返し、早い段階で初期作品を達成し、芸術祭での成果発表や成果展示などの一定の成果をあげることができた。また従来の3d表現技術では想定されないような様々な知見が得られ、次年度の研究において大きな手がかりとなった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では構築したスタジオおよび制作環境とシステムを用いて試作を繰り返すことでより芸術表現主体な体系を確立させていく。高度な表現効果を目指しながら芸術表現へと応用を進め、次年度も随時研究成果を広く発表していく予定である。次年度はすでに海外での成果展示発表が決まっていたが、新型コロナウィルス感染症における国内外への影響により、成果発表の機会を明確にするのが難しい状況ではあるが、その影響を鑑みて、海外での展示発表の有無にかかわらずweb上での成果発表を行うポータルサイトの構築や4Dスキャンを用いたweb表現展開なども重視していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表における展示費用が予定より大きくなったため、ssdなどの記録メディアの購入にあてる予定であった予算が少なくなり、残額に見合うものでは研究上容量的に不十分になるため購入は見送ったため。
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備考 |
4Dスキャンメディアの本質的な性質や時空間体験性を考察するために発足した「GREY ROOM」プロジェクトの成果展示用webページ
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