研究課題
若手研究
本研究は、アメリカの東洋美術専門家シャーマン・リーを研究対象とし、彼が前世代の東洋美術史研究者たちと一線を画す東洋美術観を形成するに至った背景を探った。その契機として、デトロイト美術館勤務と第二次大戦後の日本でのGHQ美術記念物課勤務を挙げることができた。中でもGHQ資料は網羅的に調査し、その勤務の実態を明らかにした。
美術史
リー研究の中で、あまり注目されていない初期のキャリアについて調査することにより、彼のアジア観形成の一つの契機を見出すことができた。また、GHQでの活動は、しばしばヨーロッパのカウンターパートであるThe Monuments, Fine Arts and Archives Programと比較されてきたが、その業務内容はかなり異なるものであることがわかった。その活動は作品の保護や日本美術の民主化を進めるものであり、今後、戦後美術政策を研究する上で、一つの手がかりとなり得ると考える。