本研究は、法と科学の科学技術社会論(STS)研究の視点から、日本と米国における食物アレルギー関連の訴訟や規制でどのような科学的証拠が根拠として認められ(または排除され)、そうした選択が社会の倫理規範を反映・先導し、科学研究の発展に影響を与えているのかを探ることを目的としている。その一部として、本年度は本研究の理論的枠組みを確立するために、アレルギーに関する人文社会科学系研究の先行研究を精読し、免疫学やアレルギー学の主要な関連研究を書籍や科学誌論文を通して分析し、法と科学に関するSTS研究と医療人類学的研究における理論をまとめる予定だった。実際には、新プログラムにおける初めての教育負担が重なり、当初の予定通りのことはできなかったが、少なくとも、以下のことは行うことができた。 1.アレルギーに関する科学技術社会論(STS)の先行研究の整理と本研究で必要となるアレルギーの歴史的発展に関する基礎的知識の収集に努めた。 2.STS研究と医療人類学的研究をもう一度読み直し、本研究の理論的枠組みの確立に努めたが、実際には申請書を出した時から理論的枠組みに大きな変化はまだない。 3.リサーチアシスタントに手伝ってもらってアレルギー関連の科学誌論文や免疫学の教科書を収集し、一部読んだが、分析をするに至るほどのボリュームを読めていない。 また、アレルギー問題とは直接関係ないかもしれないが、化学汚染とVulnerabilityに関する論文の校正を行い、これが昨年度にスペインの学会誌で出版された。
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