帝国日本の植民地における衛生規範の確立―公衆浴場の普及に注目して

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K12276
• 研究機関: 立命館大学
• 研究代表者: 川端 美季 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (00624868)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 公衆浴場 / 植民地 / 公衆衛生 / 清潔 / 入浴

研究実績の概要

本研究は、近代日本の植民地である東アジア、とくに台湾・韓国・中国（旧満州）において公衆浴場と清潔規範が結びつけられ、制度として強化されていった過程を、当時の公衆衛生政策の展開を通して検討することを目的とする。これまでは、研究課題の基盤となる近代日本国家の清潔観の言説と近代日本植民地における公衆衛生政策に関する資料収集、公衆衛生行政の展開と近代国家の清潔観の関係性の分析に取り組んできた。また、台湾および韓国で、公衆衛生政策と公衆浴場・入浴施設に関する文献・資料収集を行った。
しかしながら、2021年度も、新型コロナウイルス流行の影響により、海外での文献・資料調査を行うことができず、国内調査を行うにとどまった。ただしコロナ禍で、国内調査も十分に行える状況ではなかった。
2021年度は、前年度から引き続き、植民地下の公衆衛生政策、および公衆浴場・入浴施設について、国内の「清潔」言説と対照しつつ、これまで資料調査などを含め分析・整理した。
東アジアでの調査が進んでいないため、研究成果をまとめることが遅れている。今後は新型コロナウイルス流行の状況を鑑みつつ、調査の可能性を探る。さらに、これまでの調査結果に分析・検討を加え、成果として、学会報告、論文、著作として公表していく予定である。
また、公衆浴場研究や公衆浴場史アーカイブとして、東アジアの植民地における公衆浴場を加えることも探ることも視野に入れる。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス流行のため、東アジアでの海外調査が行えず遅れている。国内調査も前年度に引き続き、十分行えなかった。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス流行の状況を鑑みつつ、調査の可能性を探る。さらに、すでに収集した近代日本植民地下の公衆浴場に関する資料収集をまとめ、国内での資料収集・分析を進める。それを踏まえ、成果を適宜公表する。

次年度使用額が生じた理由

前年度に引き続き、海外調査・国内調査が十分にできなかったことが大きな理由である。調査については、新型コロナウイルス流行の状況を鑑みつつ、できうる範囲で計画が進められるよう検討する。