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2020 年度 実施状況報告書

占領期(1945-1949)の単行本検閲の実態――出版社鎌倉文庫を起点として

研究課題

研究課題/領域番号 18K12278
研究機関弘前大学

研究代表者

尾崎 名津子  弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10770125)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード検閲 / 文学 / GHQ/SCAP / 出版 / 鎌倉文庫
研究実績の概要

本研究の目的は、占領期の単行本検閲の実態解明である。そのために、占領期の新興出版社であり、関係者の証言が比較的多く確認できる出版社鎌倉文庫の活動に焦点を当てている。また、一次資料である単行本の徹底した調査を基盤に据え、検閲と文学の関係性を実証的に明らかにすることを目的にしている。
本年度は新型コロナウイルス感染症の発生と拡大に伴う、世界的な情況の混乱から、国内外での調査を進めることができなかった一方、この状況で可能な研究の展開を模索することとなった。具体的には、これまで入手した鎌倉文庫の単行本の現物や、過去の調査で集積したデータを元に、鎌倉文庫単行本出版目録の最新版を作成した。これは、『跨境/日本語文学研究』第11号(東アジアと同時代日本語文学フォーラム×高麗大学校GLOBAL日本研究院、2020年12月)に「鎌倉文庫の単行本出版目録」として掲載された。
アメリカ・メリーランド大学図書館プランゲ文庫における調査で発見した資料を元にした、大原祐治氏との共著論文「メリーランド大学ゴードン・W・プランゲ文庫所蔵・坂口安吾『二流の人』(九州書房版)関連資料に見る本文生成の過程」を『昭和文学研究』第82集(2021年3月)に掲載することが叶った。
この論文はプランゲ文庫側にも提供され、プランゲ文庫のSNSとブログによって広く紹介されることとなった。このように文庫側との連携協力体制は安定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「おおむね」とした理由は以下の通りである。
研究計画に比して、国内機関・国外機関における調査がやや遅れている。これは、新型コロナウィルス問題に端を発した自粛要請に伴い、代表者の移動が制限されたことや、調査対象機関が閉鎖、あるいは抽選制を取り入れたためである。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症に係る社会情勢の変化の中にあっても可能なことをこれまでも進めてきたが、今後も当面は同様の方策を採る必要がある。引き続き、現在手元に蓄積されている各種データを元に研究を進める。
具体的には、2020年度に整理したデータに基づき、占領期の出版検閲に関する論考の執筆などを行う。また、研究推進のためのさらなる代替案を検討する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度中に資料調査のためアメリカ(メリーランド州)と首都圏(東京都、神奈川県)に複数回出張する計画であったが、新型コロナウイルス問題により渡航が困難、あるいは調査先各機関が閉鎖となっため、計画を遂行することが叶わなかった。
次年度使用額については、2021年度中の出張を伴う資料調査の際に適切に使用する計画であるが、社会情勢によっては調査先や調査方法の変更を伴う。いずれにせよ科学研究費の使用ルールに則り、適切に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] メリーランド大学ゴードン・W・プランゲ文庫所蔵・坂口安吾『二流の人』(九州書房版)関連資料に見る本文生成の過程2021

    • 著者名/発表者名
      尾崎名津子・大原祐治
    • 雑誌名

      昭和文学研究

      巻: 82 ページ: 82-132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鎌倉文庫の単行本出版目録2020

    • 著者名/発表者名
      尾崎名津子
    • 雑誌名

      跨境/日本語文学研究

      巻: 11 ページ: 244-260

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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