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2021 年度 実施状況報告書

占領期(1945-1949)の単行本検閲の実態――出版社鎌倉文庫を起点として

研究課題

研究課題/領域番号 18K12278
研究機関弘前大学

研究代表者

尾崎 名津子  弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10770125)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード鎌倉文庫 / 占領期 / 出版 / GHQ/SCAP検閲 / 婦人文庫 / 北海道の出版
研究実績の概要

2021年度は鎌倉文庫が発行していた『婦人文庫』の全冊を検討した。作業補助者の協力も得ながら、4月から7月にかけてメタデータ(総目次、全頁の画像データ)の作成を行った。鎌倉文庫の刊行物としては文芸雑誌『人間』が広く知られているが、それに加えて女性をターゲットにした『婦人文庫』も掛け合わせ、両者において同社の刊行物(単行本)がどのように宣伝・告知されていたかを検討することで、出版社側の販売戦略や自社刊行物に対する認識を探ることとした。『人間』は文芸誌であるがゆえに、当然ながら自社刊行物の単行本が念入りに周知されていた。それはほぼ毎号「出版だより」というコーナーで周知されており、「編輯後記」では単行本編集の進捗が伝えられるなど、『人間』と単行本とは密に連関していることが明白である。一方、『婦人文庫』にも自社刊行物の宣伝は掲載されているが、対象となる刊行物が『人間』とは異なり、女性に対する啓蒙的な意図が介在していることが明らかになった。
また、前年度までに調査・収集し、『跨境/日本語文学研究』第11号(2020年12月)に目録を発表した単行本の出版そのものについては、1946年8月以降の時期に刊行が確認できる北海道支社の活動に着目し、北海道内の占領期の出版状況について調査を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

出版社鎌倉文庫の単行本を中心にした本課題ではあるが、同社の雑誌からも単行本出版に関する言説を掬い上げ、その出版戦略を検討することが可能になっている。すわなち、モノとしての単行本そのものの調査に基づくデータ収集と分析だけでなく、それがどのように当事者に把握・理解されていたかも併せ、総合的に考察することができている。ただし、GHQ/SCAP検閲との折衝を考究することに関わる基礎的な調査が、海外での調査を行えていない事情から進捗が捗々しいとは言えないことから「おおむね順調」と判断した。

今後の研究の推進方策

今後は出版社鎌倉文庫の実態のうち、本研究課題によって明らかになった部分をを総合的に示す論文を執筆し、期間内に公表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

図書や雑誌を購入するだけでなく、国内外の各機関への調査が必要となるところ、新型コロナウイルス感染症に係る社会状況により出張調査が叶わなかったため、次年度使用額が生じることになった。これについては状況が改善されつつあるため、次年度において適切に使用することが可能になる見込みである。

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公開日: 2022-12-28  

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