研究課題/領域番号 |
18K12284
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大島 絵莉香 名古屋大学, 人文学研究科, 博士候補研究員 (30761746)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 黄山谷 / 中世禅林 / 五山版 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、(1)コロナウイルス感染拡大によって、令和元年度の冬以降見合わせていた大東急記念文庫蔵五山版『山谷詩集注』の現地調査を再開し、巻12まで書入れを写し終えた。また引き続き、(2)彭叔守仙による山谷詩漢文抄『山谷詩集注』の説を、同抄を編むうえで彭叔がとりいれたとする万里集九『帳中香』、月舟寿桂(号が幻雲)『山谷幻雲抄』の説と照合し、両抄にみえない『山谷詩集注』の説の洗い出しをおこなった。 そのほか、本研究課題に関連するものとして、山谷の七言古詩「演雅」に対する山谷詩抄物の抄文から、最終聯の訓読・解釈に関するものとりあげ、論文「黄山谷詩抄物「演雅」の解釈について―万里集九『帳中香』を中心に」(『日本漢文学研究』第17号、2022年3月掲載、査読有)において発表した。同論では主に、万里集九『帳中香』にみえる説が、「演雅」詩全体の構造の分析を踏まえたうえで、同詩の最終聯の訓読・解釈に反映していることを明らかにした。抄物は説の集合体であるという資料の性格から、分析と解釈とが結びつかない憾みがある。しかし、『帳中香』における「演雅」詩抄文はその例外であり、当時の禅僧による詩の分析の道筋を明示した好例であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルスの感染拡大により、予定していた大東記念文庫蔵本五山版『山谷詩集注』の現地調査が予定通りに進んでいないためである。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、コロナウイルスの感染状況をみつつ、大東急記念文庫蔵本五山版『山谷詩集注』の書入れ調査を終えて、山谷詩漢文抄との比較検討を通し、それらの関係についての研究をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度も、コロナウイルスの感染拡大によって、元より予定していた大東急記念文庫蔵本の現地調査に引き続き思うように出向けなかった。そのため、旅費が使えずに次年度に繰り越すことになった。 令和4年度は、コロナウイルスの感染状況をみつつ、現地調査の機会をより多く設ける予定である。
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