研究課題
若手研究
本研究では、院政期に成立した歴史書『扶桑略記』について、文学研究の立場から諸本調査や本文の分析を行い、その内容についての基礎的な検討を行った。具体的には、①諸本研究、②注釈的研究、③他の中世の歴史書との比較研究という三つの方向から研究を推進した。コロナ禍の影響もあり①は計画通りには進まなかったが、②③を順調に進めることができ、成立圏など『扶桑略記』の特徴について考察を深めることができた。
日本文学
『扶桑略記』は、逸書・逸文を多く含むこともあり、主に歴史学や文学研究で注目されてきた。しかし、その全体的な特徴については検討が少なかった。本研究によって、特に注釈的な研究を進めることができ、それに基づいて『扶桑略記』が語る歴史像の特徴の一端を明らかにすることができた。基礎的な研究を土台とした着実な『扶桑略記』研究の進展は、今後の研究の進展に大きく影響を与えることになると考えられる。