研究課題
若手研究
古俳諧資料の文学史的意義を再検討するため、古俳諧の研究基盤の整備を行い、それを活用した古典研究を実施した。主な成果としては、(1)古俳書の解題目録の完成、(2)古俳書の全文データの集積、(3)黒川道祐紀行日記群の基礎研究、(4)『俳諧類船集』の注釈的研究とその古典作品読解への応用、(5)芭蕉作品の新解釈の提示、(6)国語辞書未収載語の語義究明が挙げられる。以上の研究成果を3編の論文と1件の講演によって公表した。
日本文学
近世前期に隆盛した貞門・談林の古俳諧は、俗語語彙を文字上に豊富に取り込み、言葉の連想(つまり当時の人の共通認識)を軸に展開する文芸であり、古人の世界観を知りうる資料として貴重である。本研究は、この稀有な文化資源を万人が自在に利用できる環境を構築するための基礎研究であり、その活用の可能性を具体的に示そうとするものである。本研究の成果は、芭蕉作品の解釈をはじめとする日本古典文学研究に寄与するのみならず、広く日本文化研究や隣接諸学にも貢献しうることが確認された。