本研究は、近世以来の『竹取物語』注釈を無批判的に継承することなく、それらを丁寧に吟味し、その上で、漢訳仏典も含めた多様な漢籍を駆使しながら、『竹取物語』の表現、モチーフ等の典拠や背景を新たに探ってゆくものである。 初年度(2018年度)は、大伴大納言の求婚譚において登場する「鳶・烏」に着目し、その背景や効果を考察した。ほかに、後世の歴史物語『栄花物語』における『竹取物語』受容についても指摘した。 最終年度(2019年度)では、石作の皇子に課された難題〝仏の御石の鉢〟について、いかなる典籍や知識がこれまで注に挙げられ継承されてきたのかを確認し、改めてその材源について調査を試みた。
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