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2019 年度 実施状況報告書

歌舞伎と戦争に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12295
研究機関白百合女子大学

研究代表者

日置 貴之  白百合女子大学, 文学部, 准教授 (70733327)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード歌舞伎 / 演劇 / 戦争 / 錦絵 / 明治時代
研究実績の概要

2019年度は、明治期を中心とした歌舞伎における戦争表象について、主に後発の演劇ジャンルである新派劇や絵画、小説といった隣接領域の諸芸術との比較の観点から研究を行った。その結果、幕末から明治初期にかけての歌舞伎と絵画(錦絵)が、実際の出来事や戦争、それに関わる人物の実名等をどのように朧化するか、といった点で、非常に類似した表現方法を採っていることや、実名による描写へと移行していく時期にも一致が見られることなどがわかった。
また、研究の途中経過をいくつかの研究会等で口頭発表することで、近い分野の研究者からの助言等を得た。また、日本近代文学会秋季大会でのパネル発表においてディスカッションに参加し、同時代の文学諸ジャンルとの類似点・相違点についての考察を深めた。
また、明治期の複数の歌舞伎・新派の戦争劇台本の翻刻を進めた(2019年度は勝諺蔵作「日本大勝利」、竹柴其水作「会津産明治組重」の翻刻作業を行った)。この作業は、2020年度も川上音二郎一座(藤沢浅二郎作)「日清戦争」等を対象として継続し、『明治期未翻刻戦争劇集成』(仮)として公表する予定である。
また、直接に戦争を描くわけではないが、それと深く関わる作品である「島鵆月白浪」作中に描かれる靖国神社(東京招魂社)に注目し、明治期から昭和期に至る諸ジャンルにおける靖国神社の表象についても調査を進めた。その結果、今後さらに軍歌・紙芝居・ラジオといった昭和期のさまざまなメディアのなかで、歌舞伎の戦争劇・戦時劇を捉えていくことが必要であると考えるに至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

文献調査および、未翻刻の戦争劇台本の翻刻作業等を順調に進めることができている。計画していた全国規模の学会における個人での研究発表を行うことはできなかったが、2020年度に研究発表および翻刻の刊行等の形で研究成果を公表することができる見通しである。

今後の研究の推進方策

現在作業中の翻刻を継続して行い、『明治期未翻刻戦争劇集成』(仮)として公表する。また、諸機関に所蔵されている戦争劇台本等の調査をさらに続け、幕末期から昭和期に至る歌舞伎の戦争劇の流れを捉え直し、著書としてまとめることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

国内機関において資料調査および資料複写を行う予定であったが、機関の臨時休館等による調査日程の変更が生じ、使用しなかった。予定している調査は2020年度に行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 明治~大正期の演劇/演芸と近代小説の編成──メディア間の相互交渉とアダプテーションの視点から2019

    • 著者名/発表者名
      大橋崇行, 柳瀬善治, 神林尚子, 日置貴之
    • 学会等名
      日本近代文学会2019年度秋季大会

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公開日: 2021-01-27  

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