研究課題/領域番号 |
18K12298
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
ワクダ マサキ 愛知淑徳大学, 文学部, 助教 (40780169)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国文学 / 伝記 / 書誌 / 出版 / 書簡 / 近世古典学 / 東西交流 / 女子教育 |
研究実績の概要 |
江戸中期の旗本で知識人、著述家であった三橋成烈(みつはしなりてる、1726~91)の伝記および学芸活動について、以下の通り、調査考証を行った。 1.昨年度に引き続き、成烈が安永期(1772~80)の大坂在番中に江戸在住の親族朋友と交わした往復書簡集『飛檄(ひげき)』『飛檄随筆(ひげきずいひつ)』の校注作業に取り組んだ。 2.成烈関連資料や近世古典学関連資料の閲覧撮影を行い、一部の資料の読解翻字を行った。具体的には、成烈が四十二歳の明和四年(1767)に世に出した、女子向けの教訓本『〈童女/教訓〉松間鄙言(どうじょきょうくんしょうかんひげん)』の書誌情報と校訂本文とをまとめた。上記については、『愛知淑徳大学論集―文学部篇―』第四十五号で報告を行った(「ASKA-R リポジトリ」でも公開中、https://aska-r.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=8218&item_no=1&page_id=37&block_id=59)。 また、派生的な研究として、以下を行った。 3.成烈と同時代の文筆家上田秋成(うえだあきなり、1734~1809)が安永五年(1776)刊の怪異短編集『雨月物語(うげつものがたり)』の第二話「菊花の約(きっかのちぎり)」を著す際に用いたことが知られる、正徳二年(1712)刊『陰徳太平記(いんとくたいへいき)』の校正刷本を見出したので、同書について吟味検討を加えた。上記については、東海近世文学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成烈には、明和四年(1767)刊『〈童女/教訓〉松間鄙言(どうじょきょうくんしょうかんひげん)』、安永四年(1775)刊『新斎夜語(しんさいやご)』、同八年刊『続新斎夜語(ぞくしんさいやご)』と、生前自ら世に出した著作が三点ある。『新斎夜語』正続については江戸怪談文芸名作選第二巻『前期読本怪談集』に翻刻が備わるが、『松間鄙言』については未翻刻であった。今回、その全文の翻刻が果たせたから。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、資料の調査収集および情報の整理分析に努めたい。また、従来、未翻刻の成烈関連資料の校訂を進め、公表へ向けた準備を行いたい。
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