『八幡愚童訓』は、蒙古襲来における八幡神(八幡大菩薩)の神徳を主題としているため、日本文学だけでなく、歴史学や宗教文化史など学問分野を超えて、研究資料として利用されている。しかし、その『八幡愚童訓』自体の生成や展開などの基本的なテクスト研究は、これまで十分に行われてきたとは言い難い。そこで本研究では、今後の『八幡愚童訓』の基礎としてテクスト研究や、その展開を対象に研究した。 その成果として、『八幡愚童訓』の諸本研究史を再考した。さらに八幡関連の説話は、『八幡愚童訓』を基に論じられてきたが、『八幡愚童訓』に収斂しない八幡記事の有り方も指摘し、今後の八幡信仰研究に対する新たな研究視点を提示した。
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