| 研究課題/領域番号 |
18K12301
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| 研究機関 | 奈良大学 |
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研究代表者 |
中尾 和昇 奈良大学, 文学部, 准教授 (00743741)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 曲亭馬琴 / 山東京伝 / 合巻 / 読本 / 演劇 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、曲亭馬琴の著述全般を対象として、演劇作品および演劇的趣向の利用実態を分析し、山東京伝の作品との比較をおこなうことで、馬琴の小説作法を多角的・多面的に捉え、その独自性を浮かび上がらせることを目的としている。具体的な重点課題としては、①「曲亭馬琴の合巻作品の調査・分析および翻刻紹介」②「曲亭馬琴の読本・合巻における演劇作品利用の再検討」③「曲亭馬琴の読本・合巻における演劇的趣向の検討」である。
①は、研究の発展に必要な基礎資料である活字テキストの充実を図るため、各地に所蔵されている作品の諸本調査を実施し、各年度ごとに翻刻紹介をおこなうものである。今年度は名古屋市蓬左文庫を訪れ、馬琴合巻の基礎的な書誌調査をおこなった。当館における調査はすべて完了した。ただ、昨年度に引き続き、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言等の影響から、十分な調査を進めることができなかった。また、蓬左文庫が所蔵する馬琴合巻『敵討身代利名号』（文化５年［1808］刊）前編の翻刻紹介をおこなった。
②は、読本・合巻で利用される演劇作品に関して、物語の展開や登場人物の描かれ方などに焦点を絞って検証するものである。今年度は「京伝・馬琴の演劇利用－『恋娘昔八丈』をめぐって－」と題する論考（『日本文学』69-8）をまとめた。
③は、読本・合巻で馬琴が利用する演劇的趣向に関して、その利用実態を解明するものである。今年度は、「馬琴小説における身替り－神仏霊験譚を中心に－」と題する論考（『読本研究新集』12）をまとめた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究は、おおむね当初の計画通りに遂行することができた。
①については、【研究実績の概要】に記した通り、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言等の影響から、蓬左文庫の調査のみにとどまったが、昨年度に調査対象とした東京都立中央図書館と同様、全体的に保存状態が良く、活字翻刻する際の底本として利用するに値するものであった。
②に関しては、【研究実績の概要】に記した通り、浄瑠璃『恋娘昔八丈』を共通の典拠とする京伝・馬琴の合巻を、キャラクターの造型方法から比較・検証し、論考としてまとめた。
③については、【研究実績の概要】に記した通り、神仏霊験譚が馬琴の読本・合巻に取り込まれるうえでの問題点などについて検証し、論考としてまとめた。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度の調査・研究を活かし、次年度は３点の重点課題を計画的におこなうことを目標とする。
①については、新型コロナウィルスの感染状況に鑑み、まずは東海圏（鶴舞中央図書館・岩瀬文庫）での調査を完了させ、関西圏（天理大学・関西大学など）での調査を進めていく予定である。また、昨年度に引き続き、『敵討身代利名号』後編（文化５年［1808］刊）の翻刻紹介もおこなう。
②に関しては、昨年度進められなかった〈小糸・佐七もの〉の浄瑠璃『糸桜本町育』（安永６年［1777］初演）を典拠とする京伝・馬琴作品の比較をおこない、論文化する予定である。
③については、「血合わせ」の趣向を用いた馬琴・京伝の読本・合巻作品を比較し、両者に趣向の共有が認めらることを明らかにし、論文化する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
データ入力作業が想定より早く終了したため、予定していた人件費の支出が減ったことによる。
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