研究課題
若手研究
本研究では、主として曲亭馬琴の読本・合巻を対象として、演劇作品および演劇的趣向の利用実態に関する研究をおこなった。具体的には、「曲亭馬琴の合巻作品の調査・分析および翻刻紹介」「曲亭馬琴の読本・合巻における演劇作品利用の再検討」「曲亭馬琴の読本・合巻における演劇的趣向の検討」の三点である。これらの研究を通して、馬琴の演劇に対する向き合い方が山東京伝などの周辺作者とは異なること、そしてそれが彼一流の小説観を背景としていることが浮き彫りとなった。
日本近世文学
従来、曲亭馬琴の演劇利用については、読本作品を中心に検討されてきたが、合巻を含む彼の著述全体を見渡した研究はなされてこなかった。本研究によって、馬琴の演劇利用を俯瞰的に捉えることが可能となった。また、京伝に比べて活字化の遅れている馬琴の合巻作品を、リポジトリとして公開している学術雑誌に翻刻・紹介することによって、日本国内はもちろん、海外に向けても発信することができた。これにより、馬琴研究のさらなる進展が期待される。