明治期における旧派の実態は、明治後期以降現代に至るまで近世文学・近代文学の両研究領域から十分な調査研究がなされておらず、日本文学研究における空白に該当する。しかしながら本研究を通して、旧派を代表する華族や御歌所歌人による「正風社」「興風会」「向陽会」の活動がいかに精力的に展開され、彼らがいかに和歌を継承してきたのかが知られるとともに、当時の旧派歌壇においては明治天皇の存在が大きく、多大な影響を与えていたことが明らかとなった。このように、旧派の実態解明は研究の空白を埋める作業であり、正当な和歌史を再構築することであると考えている。
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