当該研究は、近世初期を生きた古典学者である契沖(1640-1701)が和歌注釈に用いた術語・言い回しを分析することで、契沖の研究成果の再評価および分析論理の再確認を行うものである。契沖による研究成果は広く知られて活用されているが、その前提となる、契沖の使用する言葉の意味については、今なお理解が十分とは言えない。当該研究では、契沖の用語について、辞書的なものに止まらない、契沖独自の脈絡も含めた把握を目指した。 当該年度は、昨年度行うことができなかった伝本調査と事例分析を行った。2018年度に開始した当該研究は、当初こそ比較的順調に計画を遂行したが、COVID-19蔓延により伝本調査が滞って以降、妊娠とそれに伴う体調不良・出産・子の入院も含めた育児により大幅な遅れが生じた。最終的に、当初目指していたデータベース完成および海外での発表と英語論文執筆には至らなかった。研究期間は終了するが、今後も追究を続け、成果公開による社会還元を行いたい。
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