研究課題
若手研究
本研究では、『古今余材抄』『百人一首改観抄』『新勅撰集評注』の翻刻および諸本のマイクロフィルム複写を用いてこれら作品の成立過程を考察しつつ注目する評語を選び、拾い出し、エクセルファイルへの入力と分析を行った。最終的にこれらの作品に絞った理由は、評語の量以外に、後世、特に現代への影響力の大きさと成立時期である。成立時期については、日本語研究や『万葉代匠記』執筆を経て、注釈の土台が築かれてから、最晩年に至るまでの関心を追う意図から選択した。
日本古典文学
契沖による研究成果は広く知られ、活用されているが、手法や態度については、岩波書店『契沖全集』(1973-76刊)以後は数が少ない。本来、成果の活用は、それが記された文脈や意図といった注釈のあり方が判明した上で行うものである。契沖の使用する言葉の意味について、辞書的なものに止まらない、契沖独自の脈絡も含めた把握を目指した。契沖の評語については今なおまとまった分野の総合的な分析報告はないため、今後も追究を続け、成果公開による社会還元を行いたい。