研究課題/領域番号 |
18K12312
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
岩田 和子 法政大学, 法学部, 教授 (90581819)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 四川唱本 / 説唱本 / 説唱文芸 |
研究実績の概要 |
平成31年度は、実地調査としては上海図書館において説唱本の閲覧、資料収集作業を行った。同図書館では本研究に関連するテキストの複写が全面的に禁止されているため、書写する作業が中心であった。 また、神原文庫所蔵本29種のうち同治年間に「興順堂」という書肆で劉興順という人物によって創作・出版された6種の物語およびそれらに関連する2種の物語、『五英配』・『冰霜鏡』、『望月楼』・『金珠縁』、『雙上墳』(光緒年間・長興堂刊、神原文庫所蔵)・『後雙上墳』、『仙鶴縁』・『定国珠』(出版年代不詳・文茂堂刊、傅斯年図書館所蔵)に対する調査・内容分析を行った。8種の物語は、それぞれ2種ずつ上・下本として出版されたものであることが分かった。また内容分析の過程で、8種の物語は、上・下本の枠組み超えた別の物語との間でも少なからず影響関係があることが明らかとなった。同治年間の四川の説唱本出版界では「劉興順の作品群」が登場し、その作品群は互いに連環していること、当時の四川で流行していたと思しきそのほかの物語や有名人のエピソードを採用しながら「劉興順の作品群」は創作されていたことを確認し、四川における説唱本出版活動の一端を明らかにした。 本成果は「神原文庫蔵清末四川唱本整理研究―以興順堂刻本為中心」としてまとめ、2020年3月19日にボストンで開催予定であった「中国口伝文学曁演唱文芸研究会2020年国際学術研討会(2020 CHINOPERL International Conference)」に投稿・採択されたが(https://chinoperl.osu.edu/sites/default/files/2020-chinoperl-program_2020-02-26-new.pdf)、当該カンファレンスはCOVID-19の影響により中止となった(https://chinoperl.osu.edu/conference)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンファレンスが中止になったことにより2019年度成果発表の機会は失ったが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
神原文庫所蔵29種の物語の提要を順次公開していくこと、2019年度の未発表成果およびそれに付随する研究をすすめ、各種媒体で発表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、予定していた国際シンポジウムへの参加がキャンセルとなったため。
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